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第36話(R)
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大悟はKと共に、車で松田の診療所へ向かっていた。
「録画ぁ!?」
「うん。エロくなったハニーを記録したいなって。勿論、誰にも見せないから」
Kが怪我をしたという事実に、大悟は気が動転した。いつも以上に、Kのために、Kのためならという気持ちが増幅されていた。
車中で初めてKのペニスを咥えたもののうまく出来ず、むしろ、それでも反応してくれた彼の姿に大悟の方が欲情してしまった。それをKに見抜かれ、レクチャーを受けるうちに、我を失った大悟は、騎乗位という体位を実践することになった。ここでもKより大悟の方が気持ちよくなってしまい、翌朝は恥ずかしさ全開で、なかなか布団から出られなかった。
ここまではまあ問題ない。問題はその後である。Kに、復習だの、練習だの、予習だのと、大悟は一日置きに恥ずかしい行為をさせられているから。
「無理、絶対無理! そんなことするなら、Kとは金輪際しない!」
「えー、いいじゃん。ハニーのエロい姿見ながらヤりたい」
「バカ、Kの変態!!」
「あのさぁ……」
大悟とKの痴話喧嘩を受けて、前方から声がかかる。
「完全にふたりの世界だけど、運転してるの、僕だからね」
大丈夫だと思うが、まだ抜糸も済んでいないため、運転はマキにお願いした。よって、車中は大悟とKとマキの三人がいる。
「ごめん、マキ、変なこと聞かせて」
「ううん、サカさんがカナカナ激ラブなのはよーくわかった。僕としては、バカ正直に言わないで、隠し撮りすればって思ったけどね」
マキの言葉に、Kはなるほどと呟き、腕組みをして頷いた。
「そんなの絶対嫌だから、嫌だからね!?」
「うんうん、しないしない」
言葉とは裏腹に、Kの不敵な笑顔に不安を覚える大悟であった。
「真面目な話になるけどさ、あの子がサカさんに会いたいと言い出したのは、意外だったよねえ」
あの日から今日で一週間。大悟がKと共に松田の診療所に向かっているのは、あれからずっと勝馬に付き添っている藤原から、ふたりで来られないかという連絡があったからである。
(鳥居な、ケイちゃんと大悟に会いたいゆうとる。ケイちゃんに怪我させたこと、謝りたいんとちゃうかな)
藤原は勝馬と色々話をしたようで、状態は落ち着いているらしい。松田の了解も得ており、Kの経過観察(良好なら抜糸)も兼ねて、診療所に出向くことになったのである。
「これぐらいのことで、謝らなくていいのに」
Kは勝馬に会うことをよく思っていない。これ以上彼に関わりたくないようである。
「事情はどうあれ、サカさんに怪我させたことは事実だからね。その場でバラされたって仕方ないのに」
Kはハナムラのナンバー2であり、始末屋のリーダーでもある。マキの言うことは間違っていない。
「鳥居は、処分されるの?」
恐る恐る大悟が訊ねれば、Kはうーんと唸った後、こう言った。
「拳銃握ってるとこ見られてるから、本来はそうなる。そうなるはずだったんだけどなぁ」
そしてまた、うーんと唸って黙り込む。
「まさかの特例措置なんだよねぇ」
運転手マキが言った。
「特例措置?」
「カナカナは会ったことあるんだっけ? ルミルミと」
マキは、気に入った相手に二文字あるいは四文字の呼び名をつける。大悟のことはカナカナ、Kのことはサカさんと呼ぶのはそのせいだ。となると、ルミルミもおそらく人名である。
「まさかと思うが、それ、治巳さんのことか?」
「そだよ。僕のことはマッキーって呼んでくれるんだ」
Kは呆れていたが、おかげで藤原の父親である藤原治巳のことだと理解した。カナダで一度会ったきりであるが、見た目は外国人(整形したらしい)だが、日本語を話せば関西弁。優しくて強くて、頼りがいのある人だった。
「カズ君がさ、ルミルミに頼み込んだらしいよ。ルミルミ、カズ君には激甘だし、ドクターの口添えもあって、特例措置を取ってもらったんだって」
カズ君=藤原はすぐわかった。大悟としては、その特例措置の内容が気になるところである。
「本当に承知してんのかよ、治巳さんの養子に入ること」
「養子!?」
まさかの展開に、大悟の声は大きくなる。
「サカさんの顔は勿論、拳銃持ってるところも見てるわけだから、ウチの人間になるか、こうするしか方法はないよねぇ」
マキが言うように、勝馬はKの姿を認識しているし、兄の圭介が殺されたことも知っている。彼をこのまましておくわけにはいかないだろう。
「この際、養子になるのを了承したとしてもだ。本人と会わずに決めることじゃねえだろ。治巳さん、カナダから出られないのに」
「来てるよ、ルミルミ」
当然のようにマキが言った。大悟はKと顔を見合わせた。治巳は、日本では死んだことになっているはずである。
「最近ずっと一緒に飲んでるもーん」
確かに、カナダにいるはずの治巳のことを、マキがルミルミと呼んでいるのは不思議であった。
「おいおい、また不法入国かよ」
自分のことはさておき、Kは呆れた。
「レイが色々手回したからね。ルミルミがこっちにやってきたのは、カズ君を連れて帰るつもりだったんだけど、カナカナと高校卒業するまでは帰らないって言い張ってるらしくてさぁ。子を持つ親って、皆大変だよねぇ」
「つまり、先生んとこに、治巳さんもいるのかよ」
Kの顔色は曇る一方である。
「うん、久しぶりにサカさんとカナカナに会えるの、楽しみにしてるって」
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