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「手伝ってやってもいい。…ただし。」
条件がある、と言われ、宵宮はやや警戒する。
「じょ、条件って…??」
(コイツ、性格極悪だからな~…。一体、何を言いだすか…。)
たちまち半眼になって勘繰る同僚を見て、愉快そうに微笑みつつ、朝倉は答えた。
「オレの膝の上で“おねだり”してくれたら、いいよ??」
「はァ!?」
(何言ってんの、コイツっ!!)
口をぽかんと開ける同僚を尻目に、朝倉は自らの座席で組んだ足の太腿部分をぽんぽんと軽く叩いて言う。
「あれ??…さっきまでの威勢はどこに行ったのかな??いいの??恋人さん泣かせても…??」
(…やっぱ性格サイアクッ!!)
歯噛みしつつ、宵宮は辺りを見渡す。定時を過ぎ、また金曜とあってか。気づけばオフィスは、宵宮と意地悪な王様・朝倉だけになっていた。
「…~っ約束、反故にすんなよ!!」
一声吠えてから、宵宮は同僚が示した相手の膝上に腰を下ろす。真正面から天敵を見て…宵宮は息を飲んだ。
朝倉光の顔は、とても美しかった。
アーモンドのぱっちりした瞳に凛々しい眉。高い鼻梁に、薄くやや色味の悪い唇。健康そうな色どりの肌にほんのりと頬にのった朱と、唇の色。視界に映るもの一つ余さず、まるで芸術の巨匠が残した作品のように綺麗だった。
(コイツ…本当、顔だけはタイプかも。)
胸の奥がきゅっと絞られた心地になる。胸の鼓動が明らかに高鳴りだす。…蝶の羽ばたきに似た動きで、長い睫毛が上下を繰り返した。
「誰に言ってんの??」
朝倉がゆっくりと微笑む。宵宮は咄嗟に、美貌の同僚から目をそらしてしまった。
「ん??…どうした??」
ぎゅっと目を閉じ、宵宮は自身に言い聞かせる。
(沈まれ、鼓動…っ!!コイツの中身はサイアクッ!!人の皮被った雪男なんだからっ!!…っていうか僕には千暁が…。そうだ、千暁!!)
「お~い。相手しろよ、宵宮。オレ、凄い暇なんだけど。」
緩々と、だが確実に宵宮は目を開けていく。
(ええい、千暁と会うためには、この根性モロ腐れ野郎が必要なんだ!!)
宵宮はキッと同僚を睨みつけるように正面に顔を戻す。そこには、同僚が宵宮の目線を奪おうとヒラヒラと振る片手があった。宵宮は、その片手に両腕で噛りつくように包み込んで、ぎゅっと渾身の力で握りしめた。
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