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思わず、宵宮は自らの両頬に片手を添えてしまう。
(いっ、今まで朝倉は女性相手だったんだし、それは大いにあり得る…!!うわ、ヤバい駄目かも選択間違えた!!態度で示せないなら、せめて下着とかもっと色っぽい感じにしとくべきだったかも!?ああ、でも僕ファッションセンスは有り余ってないし…っ!!)
意識の中で悶え苦しむ宵宮を引き戻したのは、いっそう力を込めて握られた手の感触だった。…見れば、朝倉が至近距離で同期の顔を覗き込んでいる。
「…宵宮。」
握られた手から直に伝わる、剥き出しの肌の温もり。触れ合う肌の表面から流れ込んでくる気がする、爆音の鼓動の高鳴り。
宵宮はふと、昼に相手が口にしていた軽口を思い起こす。
『…実はオレも、ドキドキしっぱなしでいい加減胸が痛いわ。お互い、夜が待ち遠しいな??』
そんな宵宮を裏付けるかの如く、相手が口を開く。
「わかんだぞ、バカ。よそ見してんなよ。…オレだけ見てろ、宵宮。」
「…~っ」
ごくり、と宵宮の喉仏が小さく上下する。
(…朝倉も、緊張している。)
宵宮はぎこちなく…だが大きく、相手に頷いてみせた。
「…うん。」
(この男となら、大丈夫。)
言葉で上手く言い表せないが、朝倉から伝わる温かな気持ちが、ウサギの小さな背中を力強く後押しする…。
鍵を開ける。…慣れ親しんだ、たったそれだけの動作が何故こうも上手くいかないのだろう。昂りが止まらない、指先が絶えず震える。いつの間にか浅くなっていた呼吸が、背後からの男の視線でより一層熱い吐息になっていく。
「…美月チャン。」
耳元で名前を呼ばれる。それだけで…宵宮の瞳はぐしゃりと歪んでしまう。
(違う、別に何とも思ってない。だって、そうだ。これはただの治療で…。別にそういうんじゃないし…ッ)
一生穴に嵌らないんじゃないか、と思えた鍵の先がすっと嘘みたいに鍵穴へと吸い込まれていく。そのまま回すと、かちゃん、と小さな音と共に僅かな手ごたえがあった。
「あ…。」
開いたよ、とだけ言って振り返ろうとしていたのに、背後から伸びて来た無粋な一本の腕が、力尽くで扉を押し開け、全てをなし崩しにしてしまう。
背後から押し込まれるような形で室内の玄関に足を踏み入れる。宵宮はパッと半身で振り返って相手を窘めようとしたが、一足先に雪男が動く。
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