アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
52
-
「…ひぁ…っ」
うっかり声を漏らしかけ、宵宮は急いで両手で口を塞ぐ。すると、獣は気をよくしたのか。獲物の着ている上着の裾から、空いている左手を侵入させてくる。イジワルな左腕はあっという間にYシャツのボタンを外し、獲物の裸身をいやらしい手つきで触れ始めた。腹を撫で、胸を揉み、乳首を舐るように摘まむ。不埒な犯行は全てきっちりとファスナーを締めた上着の下で起きており、周囲にいる者は誰一人気づいてはいない。
「…~ッ」
「…オレだけヤんの、寂しいんだけど。ほら、口、もっと開けて…。」
獣に唆され、獲物は嫌々ながら口内の親指を舐め始める。…すると、親指はゆっくりと動き出し、その指先が暴れ出す。舌の上を撫で、歯列をなぞり、口蓋を電車の振動に呼応するかの如く、上下にぞりぞりと刺激される。
「っふ…!!」
口蓋を撫でられるのは堪らなく気持ちいい。宵宮の下肢はガクガクと震え始め、目には快楽から生まれる涙が滲む。あと少し刺激が生まれれば、腰砕けになってしまうだろう。
「どうしようもないほど、いいんだろ。…わかるよ、舌がお留守になっているもんな??」
「…っ。」
官能をとろとろに溶かされつつ、懸命に拙いながらも口淫を始める。最初は恐る恐るちろちろと舐めていた舌も、獣の欲情にあてられ逆上せあがり、やがて大胆な動きになっていった。
獣の唇は散々舐りまわして、獲物の感覚としては爛れていそうなくらい真っ赤になった耳元から項へと移動し、そこに吸い付く。優しく唇を這わせ、歯を立て思い切り噛り付き、舌で労わるように舐めていく。
獲物の双眸が、とろんと蕩けていく。目の下にはうっすらと艶やかな朱が引かれている。時折、腰がやらしくうねる。が、獲物は気づいていない風なので、まるきり無意識に獣を誘っているようだ。
「…一丁前に誘ってんじゃねぇよ。」
獣は乱暴に、獲物の足の間に自身の右足を滑り込ませる。宵宮の股間付近に太腿を深く差し込み、一見それとわからないほど小刻みに上下に動かした。
「~…ッ!!」
限界が近かった宵宮は、声なき叫びをあげ、必死にイヤイヤと顔を左右に振るが、その気になってしまった雄の獣には火に油を注ぐ真似にしかならない。
「あと、美月チャン。前、ちゃんと見ろってば。」
「・ ・ ・??」
快楽に酔いしれていた宵宮は、悪い獣のいう通り前方に目線をやり、顔色を変えた。宵宮の目線の先には、ドアの窓。友人と話す学生やスーツ姿の男女に混じって、男を誘う魔性の色気を放つ自分が、堪らなく心地よさそうに戯れていた。慌てて、目をそらそうとする獲物の顎を左手でしっかりと固定して、獣は耳元で囁く。
_
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
52 / 80