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「イく…っ。これぇ…、イッちゃ…っ。」
呂律の回らない口で、宵宮は必死に許しを乞う。
『っふ。…本当かわいいな、美月チャン。いいよ…。そのまま、イけよ。』
「んッ…。」
切羽詰まった声を出しつつ、宵宮はぼんやりと辺りを見渡す。快楽の臨界点は見えてきている。が、そこに行きつくまでの材料が足りない気がしていた。朝倉の腰に来る低い声は聞こえても、本人はそこにいない。それが物凄く、宵宮を不安にさせ、また絶頂を遠ざけてもいた。
(あさくら、あさくら…っ。あさくらをもっとちかくにかんじたい…。)
宵宮が見つけたのは、先程獣に貸してもらった上着だった。夢中で顔を埋め、匂いを吸い込む。驚いたのは電話でおかしな呼吸音を聞いた朝倉だった。
『え…。ちょ…っ、美月チャン!?急に何吸いだしたの!?っつか、大丈夫か!!?』
「だいじょうぶ…。」
欲情が強すぎて、ふわふわした意識のまま、宵宮は喋り続ける。
「あさくらのうわぎの匂い、すっごくいい…。」
朝倉が返答するまで、妙な間が空いた。
『…ん??ちょっと待って、美月チャン。』
「あさくら、いいにおい…っ。クラクラしてくる…っ。あさくらのたいおん思い出して、僕、すっごい良いきぶん、で…。」
直後。特大の溜息が電話口から聞こえてきて、宵宮は我に返る。何を言ったのか振り返って…あわわわ、と口をはくはくしだす。
「ごごご、ごめん、朝倉!!きッ、気持ち悪かったよね!?い、今のは忘れて!!匂いなんか勝手に楽しんじゃって本当ごめん!!」
『…いいよ。だけど、もう匂いは楽しまないで。』
「あ…、うん。」
しゅん…と肩を落とす宵宮に、電話相手ははっきりと言い放つ。
『オレ(本物)が今からそっち行くから。お願いだから、上着なんかで済まさないで。』
「…えっ。いや、いいよ!!夜遅いし!!」
『…ダメ。オレをその気にさせた責任とって。抱き潰される覚悟しなよ、そんなかわいいことされたら、手加減なんて出来ねぇし。…今夜はそっち泊まるから。じゃっ、待っていて。』
電話はそこで無慈悲に切れる。
「抱き潰される覚悟って…。」
そこまで口にして、ぶわぁっと赤面した宵宮はがばっとベッドに突っ伏した。
「ダメだ、想像力が貧困過ぎてイメトレすら出来ないっ!!」
自身の貧しい想像力を嘆く宵宮だった…。
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