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熱い視線に浮かされて、獲物はどきりとする。
(…そっか。よく考えたら僕、朝倉のこと好きで告白したんだ。朝倉も僕を好きみたいだし…。じゃあ、僕達は両思いなんだ。)
「あ…、朝倉。」
「美月チャン…っ」
「朝倉…っ」
互いの距離が見る見る内に縮んでいく。その唇が触れ合おうとした、時だった。
「…これから、オレ達ずっと一緒だよな??」
至近距離で朝倉がぽつんと呟いた。
「え??…ああ、うん。」
獲物は急いで、首肯を返す。
「…なら、残念だけど美月チャンの家は引き払わないとね。」
朝倉は早口でそう言い終えると、唇を重ねようとした。
「なんで!?」
宵宮はすかさず身を引いてキスを回避する。
「なんでって…。美月チャンはオレの嫁になるんだろ??…じゃあ、オレと一緒に住むべきだろ??」
肩を落とし、若干不満そうな朝倉が答える。
「あ…、同棲とか??い、いやでもそれは幾ら何でも、段階的に僕らにはまだ早いだろ。…それに、アレだろ??同棲ってなると、昼も夜も、家と仕事の往復で僕とずっと一緒になるぞ??」
宵宮の頭は、何故だかすっきりしなかった。
(何、この朝倉の喋り方。変な含みがあるような…??)
朝倉は頭を斜めにして、とんでも発言を口にする。
「いいや??…だって、美月チャンは仕事を辞めるもん。ずっと一緒ではないはずだけど。」
「え??」
「え??」
双方顔を見合わせ、頭上にはてなマークを浮遊させる二人だった。
気を取り直して、宵宮が質問する。
「待って…。何で僕が仕事辞めなきゃなんないの??」
「・ ・ ・。」
奇妙な沈黙の後で、朝倉が獲物の片腕をとりやんわりと引っ張った。次の瞬間には、宵宮はすっぽりと獣の腕の中におさまる。普段は心を和らげる、じんわりとした相手の体温が今はただただ末恐ろしかった。
「だって、美月チャンは物凄く可愛い。少し外に出ただけで、色んな男が寄って来ちゃう。」
「が、眼科行った方が良いと思う。それか脳外科…。」
目を丸くしつつ、獲物は何とか返事をした。
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