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【前回のあらすじ】 両思いになった相手が早くもおかしな話を始めました。
「だから、一生オレん家の寝室に閉じ込めないと。あ、安心して??もう色々と準備を進めていてね、手錠とか繋ぐチェーンとか。大丈夫、トイレやキッチンには自由に往復できるから。」
「待って。何勝手に僕を閉じ込める算段進めてんの!?」
好きな人に抱擁されているはずなのに、どんどん顔色が悪くなっていく宵宮だった。
「ごめんね??けど、許して…。オレもう、我慢できない。美月チャンが他の男と一緒にいるのを見るだけで気が変になりそうなんだ。せっかく手に入れた大切な人なんだから、絶対に盗られたくないんだよ…っ。」
縋るみたいにぎゅうっと一際強い力で抱きしめられて、獲物は静かに目を伏せる。
「オレは、昼も夜も…片時も離れず、美月チャンのそばにいたい。」
そんな獲物に許しを乞うかの如く、獣は口づけようとする。獲物は…そっと獣の唇に人差し指を一本ちょこんと乗っけた。
「…だめ。」
途端、朝倉の綺麗な顔が崩れ、絶望を目の当たりにした表情に変わる。宵宮は慌てて言い繕う。
「ちっ、違う違う!!…も、もう一度、初めっからちゃんと考え直したいんだ。自分の、朝倉への気持ち。朝倉の今の意見を含めて…。」
(…軟禁される気はないけど。)
胸の内でこっそり本音を付け足す宵宮だった。
「うん…。」
朝倉は小さく微笑んでそう返してくれたが、がっくりと低くなった肩が彼の落ち込みを表現しているかのようだった。
だがややしてから、朝倉は急に元気を取り戻す。
「あっ、そうだ。今夜は??今夜はどうしようか??み、美月チャン家行っていい??それとも…。」
恐る恐るという体で訊いてくる朝倉に、相手は内心謝罪しつつ答える。
「あ…、ごめん、朝倉。今夜は、ちょっと…。その、お前とは距離を置いてきちんと自分の中で答えを出したいんだ。」
「…そっか。」
わかった、と答えた朝倉の表情は痛々しいくらい、無理をしていた。
「…というわけで、悩んでいる。」
その日の午後七時半過ぎ。宵宮は、合流した大川と居酒屋に入った後で、面と向かって恋愛相談していた。
「お前、今までの人生でよく高い壺とか怪しい宗教とか入らなくて済んでいたね。」
大川はビールジョッキを口元に運び、キンキンに冷えた酒を飲み下していく。
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