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My first girl friend・・・・3
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かれんちゃんはまだ男の子の体のままの女装子だった。でもボクと違って、元から造りが華奢で柔らかいんだろう。鏡の中のボクを覗き込むかれんちゃんの、なんて小さな顔。なんて細い首。そしていい匂い。
さっきから心臓がバクバクドキドキしてるのは、男としての興奮なのかなんなのか。女の子に対してこんな風に胸がときめくのは初めてだ。でもかれんちゃんは男な訳で、ボクは彼にときめいてるの?
「まゆちゃん今日からなの?」
「え……は、はい。あ、いえ、今日は、えっと見学?」
ウィッグの内巻き具合を指先でちょんちょんと整えてくれながら、鏡を介してボクを見つめる垂れ気味の大きな目が思いのほか真剣で、つい目線をそらしたくなってしまう。
「アイライン、もっとちゃんと描いた方が、ナチュラルだよ」
そう言ってかれんちゃんは自分のバッグを引き寄せ、中からピンクのサテンのブラシケースを取り出した。くるくるっと巻いてあるアレ。くるくるっと開くと、几帳面に各種のブラシやマスカラ、アイメイクの道具が収納されているそこから細いペンシルが抜かれたのを見て、ボクは自然と瞼を閉じた。
「こうやってまつ毛の間まで、しっかり埋めて……」
女の子からメイクを教わるなんて初めてで、というかこんなに近くに女の子の顔があるのって初めてで、ボクの心臓はさらに激しく脈打った。
目を開けてって声がして、そっと瞼をあげると、右目だけ全く印象が変わってる。下瞼にも細いアイラインがひかれ、クイクイっと小さな金属のバネでボクのまつげの根元が持ち上げられると、今まで多分わざとらしかったつけまつげも、パッチリとお人形のように上を向いた。なんだかこれだけでもうボクの未来が明るくなった感じ。
「どう?」
「わぁ……ありがとう。かれんさん」
ボクの声が震えてる。無意識に、か細い声を出そうとしちゃってるみたい。
「メイクは慣れだから。経験だから」
「はい、がんばります」
「あたし、美容専門学校いってたんだけどさ、半年でやめちゃった。youtubeの方が為になるもん。学費よりエステよね」
そういいながらボクの残りの目も同じように手早くいじると、ふわふわブラシでチークを足してくれた。
かれんちゃんはどれだけ喋ってもずっと女の子の声。ものすごく自然だ。
まるで、まゆもそういう女の子であるかのような錯覚。だけど、目の前の鏡はリアリスト。かれんちゃんと並んだまゆは、やっぱりその骨格や皮膚感が男なのだった。
「ここで頑張って、いっぱいエッチなことしたら、パス度も上がってくし自信もつくよ。いいバイトでしょ?やってみたら?」
ボクは現実なんか見えてないふりでニッコリと笑って見せた。
「歯並びキレ〜」
なんか、部分的に褒めてくれるのはここの人たちの優しさなのかな。
「かれんちゃん、時間です。ラブベリーの407。ご新規さん」
マネージャーさんに呼ばれると、かれんちゃんはは〜いと返事をし、グロスを塗り直して鏡の中から出て行った。
ボクはその時、ズキンとクリトリスが硬くなるのを感じた。ラブベリーってホテルで、かれんちゃんこれから知らない男のひととセックスするんだ。
かれんちゃんの背中を追う。マネージャーさんと何か話しながら、かれんちゃんがポーチの中に無造作にコンドームの束を入れるのが見えた。
なぜだかボクはひどく傷ついてしまった。
さっきかれんちゃんがいれてくれたベリーの香りの赤いハーブティ。
甘くないお茶って初めて飲んだかもしれない。すっぱいけどいい香り。
両手でティーカップを包んで、ソファーの隅っこに座ったボクは、かれんちゃんが出て行った後、しばらくぼんやりと女の子たちの様子を見ていた。
女の子が来るたびに一瞬賑やかになる彼女たちは、ちらっとボクを盗み見ることはあっても、笑ったり話しかけたりすることはなく、今更なアウェイ感にちょっといたたまれなかったけど、1時間もしないうちにマネージャー以外いなくなってしまった。
「どうですか?伊藤さん。感じ掴めた?」
「はぁ」
「今日は忙しい方。もっとのんびりな日も有りますよ」
「あのー……」
「はい」
「やっぱり、その〜、最初に研修とかあるんですか?」
「研修?」
「実技研修?」
「ないよ、そんなの。男性とのセックス経験あるんでしょ?」
そりゃーあるけど。
「うん、何も特別なことはないですよ。できることだけで。じゃあシステムの説明しますね」
実際ボクには、知らない男のひととセックスすることに不安とかはなかった。むしろ好き。ここで働くか働かないかはすでに今ここにいるわけだから迷ってはいない。ただ、どのタイミングから始まるのかな、と思っただけで。
それでボクは、つい食い気味に、システムの説明を始めたマネージャーに言った。
「やります」
「ん?」
「ボク、このお仕事、やりたいです」
そう言ったボクの口元をマネージャーは無表情でじっとみた。
また歯並び褒められるのかな。いい加減だと思われたんだろうか。がっついてると思われたかな。
その時電話が鳴って、視線をあげたマネージャーはついでのようにボクの目を見た。で、言った。
「入ってみる?」
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