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4月6日④[結月]
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俺は、雫をリビングにあるソファに座るように言い、自室に荷物を置いて、俺もソファに座る。
雫は、ちゃっかり自分のBLマンガをどっさりと積み上げ、読みふけっている。
俺は、今日の浅野からの告白のことを、思い出せる限り、事細かく教えた。
雫は、パタン、と静かにマンガを閉じる。
「で、その告白をオーケーしちゃった、と?」
「……覚えてないけど、仕方なく」
「なんでだよっ!いや、良いんだけど!」
可愛らしい顔で怒鳴る雫。
迫力無いけど勢いが凄い。
「度々思うけど、結月って恋愛経験の無さがものを言うよね……なんで告白されたんだろうね〜。まあでも、そんなとこも、不器用な攻め感あって良いかも……」
「うっ……まあ、好かれるような性格してねーのは承知の上だけど」
雫は、呆れた顔で再びマンガを開く。
いつものことだが、後半は聞かなかったことにしておく。
「ねー、その浅野くん?って子、もしかしてすっごく顔が可愛い子?」
「知ってるのか?」
「うん、2年に自傷癖がある?女顔の男子いるって聞いて、もしかしたらそうかなーって。めっちゃ妄想捗ったから覚えてる」
浅野の顔につられかけたことは言ってないはずなんだが、何で分かったんだ。
「……で、どうすればいいと思う?」
「具体的には」
「浅野と別れるべきか、ってこと」
「う〜ん、私は別れてほしくないけど、結月は浅野くんのこと苦手なら、別れてもいいんじゃない?」
「苦手じゃないんだけど、得意でもないし……」
「じゃあ、付き合ってみれば?もしかしたら好きになるかもだし」
マンガから目を離さず言う雫。
確かに、好きになる可能性はあると思う、大いに。
顔が若干好みなのもあるけど、性格も嫌いではない。
「そう……だな、そうしてみる」
独り言のような返事を呟く。
そうだ、そうだよ、困ったら、また雫に相談すればいいんだし。
少しの間で良いから、真面目に浅野と付き合ってみよう。
涼太への恋心が報われないことへの、慰めにもなると思うから。
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