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そう言い終えたと同時に、
「ねぇ? これで君も、落ち着けたね。あはは……またビックリさせちゃったと思うから。君が、ここから好きな飲み物を選んで欲しい。もちろん僕のも好きにして良いよ、お酒でもジュースでも水でも……」
「おっ……えっ…あっ……俺が、いやっ……私が選んでも良いんですか? というかその……本当に良いのか?」
「良いよ、むしろ選んで。君のセンスを見てみたいから」
「あっ……もう、何ですかそれ? 分かりましたよ。 どうなっても知りませんからね」
アレクセイにそんな事を言われて、俺は正直めちゃくちゃ困ってしまう。
──そう何故なら、俺は今の自分として存在してから一度も、兄以外の人物と一緒に軽食ですらとった事がなかったからだ。
ましてや、その時ですら選んで貰う事ばかりで……。
こうやって、自分の好きなように選べるのは初めてすぎて、緊張してしまう。
だが、こうやって家族以外の誰かと食事をしたり。
自分で好きな物を選んで飲んだり、他人におすすめしたりという。
とても些細でありながらも、今まで叶う事すら無かった小さな夢が……。
こうも簡単に目の前に居る人物に叶えられてしまうので、俺の中にある警戒心がどんどん薄れていき。
むしろ、どんどん好きになって行きそうで。
(俺チョロすぎないか……ああでも、生まれてこの方こんなに兄以外から……優しくされた事なかったから。きっとそのせいで可笑しくなってるんだよ!! ああもう、惑わされるな俺!! というか、いい加減そろそろ選ばないと……)
そうドキマギとした気持ちを振り払うかのように、頬に手を数回当ててからメニュー表に手を伸ばして。
じっと内容を確認してから、この地域にしては珍しく……。
そして、俺の本来の故郷では日常的によく飲まれる品が一つだけあったので。
「……よし、これにしよう。きっとコレなら……」
「うん……? もしかして決まったのかな? 随分と早かったね、それだけ良いものがあったのかな」
「ええ、そうですよ。きっと、アレクセイ様も気に入りますよ」
俺はそう自信満々に笑って言い放てば、アレクセイはニヤリと笑い返して。
「へぇー随分自信あるんだね、お手並み拝見といこうか」そう言って、俺のセンスを試す為に。
近くに待機していた、使用人に合図を送ってこちらに招くので。
俺はそれを緊張しながら、横目でじっと伺うように見つめて。
──使用人がチェックイン表と、軽食用のサンドウィッチを。
俺たちの席に2人分置き終えたあたりで……。
「すみません、飲み物を頼んでも良いですか?」と話しかければ。
「はい、勿論大丈夫ですよ。どちらになさいますか?」
「カクテルの白雪姫を二つ頂いても宜しいですか?」
「畏まりました、給餌の者に伝えておきます。では、こちらのサンドウィッチをお楽しみながら、当ホテルのチェックインとこの施設の案内等ついてお話し致しますね……」
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