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「…ハァ…ッハァ…ッ」
痛む頭を押さえながら
何とか会社にたどり着いた
足が…動かない…
体が重い…
気を抜いたら倒れそうだ…
「…クソが…っ」
自分自身にそう呟きながら
俺は社長室へと向かった
「…失礼します」
ドアを開け、中に入る
イスに座っている社長の姿が
歪んで見えた…
「…お久しぶりです、社長」
「久しぶりだな。今日はどうした」
「…これを渡しに来ました」
そう言って俺は
手に持っていた物を机の上に置いた
「これは…」
「…退職届です。本日を持って…ここを辞めさせていただきます」
「なぜ、急にそんな事を」
「…実は…社長に隠してた事があるんです」
「隠していた事?」
「…はい。実は俺、健康診断で引っかかり…脳に腫瘍があると言われました…。その為、最近…体調が整わず休んでいました…。病院の先生に限界だと言われ…今日から入院する事になったんです」
俺の話を真剣に聞く社長の目は
明らかに戸惑っていて…
「…その為、本日を持って…辞めさせていただきたいと思います。今まで黙っていて申し訳ありませんでした…」
「…君は…とても優秀な社員だった。そんな人材を失うのは痛いが…だが、仕方あるまい。必ず治すんだぞ」
「…はい…ありがとうございます…。今までお世話になりました…。では、俺はこれで失礼させていただきます」
深々と頭を下げ
俺は溢れそうになる涙を堪えながら
社長室を後にした
その時…
「…っ…ゴホッ…!」
激しい吐き気に襲われ
俺は急いでトイレへと向かった
「…うっ…ゴホッ…ゴホッ!…ハァッ…ゴホッ…!」
肩で息をしながら
俺は鏡に映る自分を見た
「…何だよ…その顔…」
今にも死にそうな顔をした
鏡の中の自分に
俺は小さな声で問いかける
「…俺…こんな顔…してるんだ…」
真っ青な顔色、色を失った唇
死んだ魚のような目…
「…ひどい顔…」
こんな顔…
誰にも見られたくない…
俺は口を水で洗い
急いでその場を離れようとした
その時だった…
「…あれ?翔…?」
聞き覚えのある声が
聞こえてきたのは…
でも俺の視界は
グラっと歪み…
「…翔!!」
その声を最後に
俺は意識を失った
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