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rev .27
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レイの鶴の一声で話し合いは終了した。岡崎はマキの部屋に泊まることになり、ふたりは部屋を後にした。
「ハニー、お風呂入ろっか」
マキと岡崎を玄関まで見送った大悟はその場から動けずにいた。迂闊に情報漏らしてしまい、ひどく落ち込んでいたのだ。
「そんなに落ち込まないで。誰も怒ってないでしょ」
Kは大悟の頭を優しく撫で回し、右頬にチュッとキスをして、抱き上げる。
「けど、俺が余計な情報を漏らしたのは確かだし!?」
「府警本部長命令を暴露した瞬間、あいつは俺達側についた。ハニーの発言はそれ以降だから問題無し。レイも何も言わなかったでしょ」
大悟が言わなくとも、時間の問題だった。岡崎は田中が狙われる可能性を知っていたことになるから。
「それは、そうだけど……」
納得いかない大悟を連れて、シラサカはバスルームに向かう。彼を下ろした後、シャワーコックをひねり、浴槽に湯を溜める。
「ほら、服脱いで先に体洗うよ」
お互い服を脱ぎ、浴槽に湯が溜まるまでの間、シラサカは大悟の髪と頭を洗った。彼を先に浴槽に入れてから、自分のことに取りかかる。
「今はいいとしても、岡崎さん、これからどうなるの?」
シラサカが体を洗い始めた頃、大悟が口を開いた。ふたりのときに他の男の話題をするのはタブーなのだが、大悟は真剣そのものだったので、ここは折れることにする。
「先のことはわからないけど、草薙が引き取ってくれるなら、ナオ達と同じになるんじゃね」
どういう形であれ、今回の一件が片付けば、岡崎は府警を辞めるだろう。彼は直人や蓮見以上に責任感が強そうに見えた。
「だとしても、大阪府警は辞めることになるよね……」
不安そうな表情で大悟が言った。体を洗い終えたシラサカは浴槽に入り、彼を背後から抱きしめる体勢になった。
「あの言い方からして、俺達と出会う以前から警察組織に何らかの不満は抱いていたのは確かだろうね」
そう言うと、シラサカは右手で大悟の頭を撫で、右頬にチュッとキスをした。
「オッサンの話はここまでね。我慢させてごめんね、ハニー」
「我慢?」
岡崎のこともあって、大悟は忘れてしまっているが、そのままにしておくのはよくない。
「そ、我慢。何回も言ってるよね、俺の前では泣いていいって」
偶然とはいえ、大悟は銃乱射事件に遭遇した。凄惨な現場は両親の事件を思い出させてもおかしくなかった。シラサカが大丈夫かと聞いたとき、大悟はしばし言葉を発することが出来ず、小刻みに震えていたから。
「別に、我慢なんか……!?」
シラサカの言葉で忘れていた感情が溢れ出す。すかさず、小刻み震える大悟の体を強く抱きしめた。
「ひとりにしてごめんね。怖かったよね」
本当はベッドで抱き潰したかったけれど、検査結果が出るまで無理はしないと決めていた。肌を合わせることで、万が一大悟に影響が出ては困るから。
「ごめん、こんなことで、泣いてたら、ダメ、なのに……」
「いいよ、泣いて。俺には、ハニーの全部を受け止める覚悟と責任があるから」
大悟が望んだこととはいえ、この世界に引きずり込んだのはシラサカだ。
「本当は、怖かった、本当にやっていけるのか、怖くなった……」
いくつか立ち会ったことがあるとはいえ、理不尽な現場に遭遇するのは初めてだったはず。血と闇の世界に慣れたシラサカは何も感じないが、大悟は違う。
「辛いなら、やめていいんだよ?」
「やめない、絶対やめない! 俺はKの側にいるって、離れないって、決めたから!?」
大悟の決意と愛情を受けて、シラサカの胸も熱くなる。
「わかった。それなら今はいっぱい泣いて、全部吐き出して。また明日から頑張っていくためにも、ね」
大悟の泣き声がバスルームに響き渡る。彼が泣き止むまで、シラサカはその体を強く抱きしめ続けたのだった。
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