アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
それは一つのお願いから始まった
-
それから他愛もない話を少しして「また学校で」と通話を終わらせた。
とほぼ同時に戻ってきた春斗が、通話が終わってるのを見てさっそく「彼女?」と聞いてくる。
「いやぁ、彼女というか、まだ彼女じゃないっていうか」
夜遅くに電話を、しかもしようかしないか迷うってことは向こうもそれなりに俺を好意を寄せてくれていると思う。少なからず嫌いな相手にはしないことだ。
もうそろそろ告白してもいいかな、と浮かれる俺を春斗が一瞥して歩み寄ってくる。
春斗とこういう話をするのは初めてのことで、なんだか背中がむず痒い。
そういう話は聞かないけど高校生になって六か月が経つし、春斗にも彼女の一人や二人いたりして。もしかして俺が知らなかっただけで中学でそういう付き合いの女の子がいたのかもしれない。
もろもろ聞いてもいいかなと思案しながら、隣に座った春斗の顔を覗き込む。
「なに?」
「春斗はそういう女の子いねーのか?」
「いない」
「好きな人は?」
「いない」
「年上でいいなら何人か紹介してやれるけど?」
「……いらない」
「遠慮すんなって」
「……してない」
「まあまあ」
「本当にしてないから余計な事すんなよ」
時すでに遅し。不快そうに寄る眉根が余計なことをしたと証明している。
これ以上余計なことをしないよう「何かあったらでいいから兄ちゃんを頼れよ」と話を終わらせて、ゲームの続きを促すようコントローラーを春斗に差し出した。
それを素直に受け取った春斗はしかし早々に手放し、まっすぐに俺を見つめてくる。
「じゃあ、一ついい?」
「おう、どんとこい……っ、けほっ」
胸を威勢よくたたくも、呼吸と被ってむせてしまった。
何をやってるんだ俺は。
そんな俺に呆れの溜息を吐いた春斗はその分だけ息を吸うと口を開いた。
「さっきは嘘ついた。ごめん」
「嘘?」
「好きな人いないって、あれ嘘」
「ほう。それで?」
「俺の好きな人、男なんだ。だから言い出せなかった。ごめん」
唐突なカミングアウトに反応が遅れる。遅れて出た反応も「へぇ」だけだった。
「でもそいつには彼女がいるから、秋にぃが代わりになって」
何か気の利いた言葉はないか考えていて頭が回らないのに視界と体はぐるりと回転して、見慣れた天井と、見慣れない春斗の顔だけしか見えなくなる。
その春斗の顔が近づいてきてやっと事態を理解した。
「ま、待て、冗談キツいって。さっきイジめたのは謝る……んぅ」
押し返す手はベッドに縫い付けられ、謝罪はいらないと言うように口を塞がれる。
「はるっ、と、……やめっ」
合間に制止しようにもそのために開けた口にぬるりと舌を差し込まれ、言葉を出せなくなる。
ベッドと春斗に挟まれ、手も拘束されたまま、足をばたつかせても絶妙な位置に跨られていてそれは無意味な行為に終わった。
さんざん中を舐って満足したのか、内容に見合わない可愛らしいリップ音を鳴らすと春斗はやっと唇を離した。
口端から垂れる涎は春斗のものか、俺のものか。
それを舌なめずりする春斗に鋭い目で見下ろされてゾクリと背筋が震えた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 10