アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
優しい君
-
家に帰るとそこには誰もいなくて、リビングに特にようもなかったので、迷わず自室に入り。さて、勉強をしようかなと思いたかったが、先程の高橋との出来事で気持ちが高ぶってしまい、全く勉強をする気になれない。
ここ高橋とのことがあってからというもの、俺は全く勉強が出来ていない気がする。
気がするっていうか、出来ていない。
「もー。どーすんだよー」
家に誰もいないのをいいことに。普段、独り言など全く口にしないのだが、つぶやかずにはいられず、唸りながらベッドにダイブした。
「このままだったら俺馬鹿になっちゃうよー」
明らかに自分のテンションがおかしくなっているのは何となくわかるが、どうにもならないのでそのまま枕に顔をうずめ「うーうー」と唸り続ける。
高橋だ、やっぱり高橋が俺のじゃまをするんだ。
そんなことはもう分かりきっていたのに…いたのに……
友達になっちゃった……
「はーー〜」
予期せぬ展開に変な溜息がでる。
やっぱり俺、馬鹿になったんだ。でも、仕方なかったんだ、あんな風に言われたらついコロっといっちゃうだろ。
高橋の顔を思い出してしまい、足までばたつかせてしまう始末だ。
高橋とメール……
このケータイに高橋からメールがくるのか…
普段全く機能を発揮できず、あってないような代物になっていたケータイを手に取ってみる。
履歴を見てみるとそこには母という文字がずらーと並んでいる。といっても母からも、毎日メールがくるわけではないので。ケータイを購入してからというもの、まだ100通も受信していないんじゃないだろうか。
今まで、自主的に画面を見ることもあまりなかった。
こいつがこんなに厄介な代物になるなんて…
恨めしそうなに画面を見ていると、何とタイムリーなことか、メール受信の画面に切り替わり、ケータイが鳴りだした。
高橋からだ…
友達からメールがくるという始めての感覚に胸が高鳴る。
高鳴る胸を押さえつつメールを開く。
「今日は来てくれて嬉しかった。勉強とか忙しかったら無理に返事しなくていいから。 でも、返事くれたら嬉しい。」
メールは意外にもスッキリしたもので。
でも、メールのスッキリとした感じには比例せず、俺の心臓は更に騒がしくなった。
高橋は俺の勉強の心配してくれてるっていうのに、今の自分の状況を今一度確認して顔が熱くなる。
俺って恥ずかしいやつだな。
こんなの女子みたいじゃないか、しかも何でメール一つでこんなに喜んでるんだろ。
何かがおかしい気がする……
でも、「返事くれたら嬉しい。」とか高橋ってキザだ、高橋みたいなイケメンにそんなこと言われたら皆、ドキっとしちゃうだろ。
しかたない、仕方ないんだ。
とりあえず返事を……
自分の収拾つかない感情に、無理やり言い訳をつけ何とかのりきろうとする。
「分かった。」
それだけ、打ってメールを送る。
でも、これだって打つのに1時間くらいかかった。
あんまり、馴れ馴れしいのはダメだとか。高橋みたいに、嬉しいとかいう感情を、素直に打とうと思ったら恥ずかしくて打てなかった。
結局、凄くそっけないものになってしまった。
逆にこんなに素っ気ないのも如何なものか。と送った後に後悔した。
俺が返事を送って3分もたたずに、高橋からメールが返ってきた。
はやい!まだ、先程のメールについての反省ができてないのに、また返事を考えないといけないのか。
高橋からのメールは
「俺もう家着いたんだけど、日高は?」
というものだった。
これは、返事のしやすい内容だ。よかった。
「俺も、もう家に帰ってる。」
「そっか。
それで気になってたことがあんだけど。この前の、あの夜の時は大丈夫だった?何か言われなかった?」
またもや、直ぐにメールがきて、その内容に、少しドキっとする。
「大丈夫だったよ。帰ったら母さんも父さんも寝てたから。」
「よかった。あの後、結構気になってたから、安心した。」
ずっと心配してくれてたのか、と思うと何だか心が温かいものに包まれている感覚におちいる。
高橋ってやっぱりいい奴だな。
ここは素直にお礼のメールを返さないといけないな。と思い返事を打っていると、いつのまに帰ってきたのか、母の声に呼ばれる。
「明希、帰ってるの?早くお風呂に入ってご飯食べてちょうだい」
何かあったのか、母の声には少し苛立ちが含まれていた。もたもたしていると更に機嫌を悪くしそうだったため、どうするか迷ったが、打ちかけのメールをそのままに母の云うことをきくことにした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
23 / 35