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第3話 幽霊来る!
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ぼくが幽霊に出会ってしまった翌日。カーテンを開けると朝の光が室内に入ってきて心地良い。窓も少し開けて換気をすると肌を刺すような冷たい風とともに黄色く変化した葉っぱが一枚入ってきたので慌てて窓を閉めた。
昨日確かに幽霊に会ったんだよね。本当に幽霊っているんだな。あんなにかっこいい幽霊だったら別に生きている人間じゃなくても仲良く出来るかもと思った。そしてもっと仲良くなりたいな。男の幽霊を好きになるなんてぼくは普通じゃないのかな? 少し不安な気持ちになったけれどあの幽霊を好きになる気持ちは本当なんだ。今日も来てくれると嬉しいな。そう思いながら幽霊がいつ来ても大丈夫なようにその日は室内で過ごした。
だけど日中はその幽霊は現れることなく昨日と同じ時刻になってしまった。
「幽霊さん、早く来ないかな……」
独り言を呟きながら音を消して携帯型ゲームをやっているとガラガラっと扉が開いた。
中に入ってきたのはあの幽霊の男の子で僕は顔を綻ばせた。
「幽霊さん、こんばんは! ぼくずっと幽霊さんが来るのを待っていたんですよ。幽霊さんの名前良かったら教えて欲しいな」
幽霊の男の子はなんとも言えない微妙な顔を浮かべ頭を掻いた。そして口を開きかけたのだけど、喉に手を当て苦しそうな表情に変わる。
「えっ。幽霊さん、喉痛いの? 大丈夫?」
幽霊さんのことが心配になりベッドから降りて駆け寄ろうとするのだが、幽霊さんは僕が近寄ろうとすると一歩、また一歩離れてしまう。
「喉痛いのに喋らせようとしてしまってごめんなさい。しゃべれなくてもいいよ」
幽霊さんはぼくのほうを潤んだ瞳でじっと見た。そして部屋の端にある椅子へと座る。
それからしばらくお互いしゃべることなくただ黙ってそこに座っていた。そのまま十分ほどが経過したあと幽霊さんはおもむろに立ちあがり部屋を出て行った。
「また来てね」
部屋を出る直前の幽霊さんにそう声をかける。また明日も来てくれますように。あさってはぼくの頭の手術だし、手術の前の日に幽霊さんと過ごしたいもん。そう思いながら眠りについた。
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