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「……ひっ…ど………」
裸になった奴隷の体を見て絶句する藍。
僕は何も言わないまでも、若干の吐き気と戦っていた。
彩は泣きそうな顔で俯いている。
彼の体の傷は惨惨たる有様だった。
まず、背中。ここが一番ひどい。
ボロ布とはいえ一応衣服で隠していたから見えなかったが、一度晒してしまえば薄気味悪いことこのうえなかった。
鞭の跡、鬱血痕、痣、切り傷の数々。
腹には、今朝「元」主人に蹴り飛ばされた時にできた痣がくっきりと浮かび上がっている。
白くてさらりとした肌をしていてそれなりに可愛らしい顔立ちだったけれど、腕も足も小枝並みに細くて胸にはあばら骨が浮き上がっている。
何食ってたんだと言うしかない。
「彩ちゃん…来な」
藍が硬直して使い物にならないので、こんなところで全身を晒し続けるのも嫌だろうと思い僕は彩の手を引く。
力なく引きずられるままに浴室に入る彩を見て、ハッとしたように藍が僕らに続く。
僕と藍は着衣のままだ。
ただしシャツの袖を捲ってはいるけれど。
「彩ちゃん…ごめん、ごめんね……こんなになるまで……助けてあげられなくて…」
奴隷本人より辛そうな顔で謝り続ける藍。
藍はまったく悪くないのに、なんで謝るのかわからなかった。
彩もそう思ったのだろう、泣きそうな顔に困惑を浮かべている。
とにかくとにかく謝る藍。
「ごめんね…」
ポカポカと湯気をあげる浴槽にはお湯が張ってあった。
でもいきなり入れてもお湯が汚れるだけだし、何よりあんな主人に飼われていたことからしてずっと冷たい場所にいたに決まってるんだから、急に温めるのも良くないだろう。
先に体を洗うことにした。
「藍、彩の体を洗うよ。ボトルと布をとってくれる」
「ごめん……うん、わかった……彩ちゃん、ごめんね…」
延々と謝り続ける合間に返事をし、石鹸で泡だらけにした布を僕に渡す。
「少し痛むかもしれないけど我慢してね」
言いながら、彩の右手を持ち上げて布でこすりあげる。
彩が呻く。
「痛いね…我慢してね、彩…」
自分が痛いみたいに眉根を寄せて、藍は彩の左手を洗う。
彩はずっと、ギュッと目を閉じていた。
彩の体は、全身くまなく傷をつけられているようなものだ。
どこを触ってもびくりと痛がる。
つまりまあ、言ってしまえば傷ごと洗うしかない。
僕は腕の擦り傷も痣も無視して何度も布を往復させた。
「う………っアっ……ぃッ……」
注意して聞かなければ聞こえないような小さな声で、彩は痛みに喘ぐ。
藍はおそらく傷を気にしてゴシゴシこするなんてことはできないでいるんだろうが、そんなことをしていたら痛みの時間が長くなるだけ。
さっさと終わらせるに限る。
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