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=Ring1= 009.
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「今週入ってきた子は10人ですねぇ。そのうち半分は自分から志願したらしいんで、残りの子が売られてきたってことっすね。どいつもこいつも痩せ細って見るに耐えませんでしたけど、ちゃんとヤることはできましたからw」
「…」
オーナーが持った小さなランプの明かりを頼りに、僕らは長い廊下を歩いている。
両方の壁は全面が檻で、その中には、ほとんど真っ暗で見えないけれど奴隷たちがいるんだろう。
僕の隣を歩く藍は早くも顔色を悪くし、ときどき「早く帰りたい」とばかりにオーナーと僕にチラチラ視線を寄越した。
目があってニコリと笑いかける。
藍は眉を下げたままだ。
ここは地下、収容所と呼ばれる場所だ。
別に僕らが来たいと言ったわけではなくて、(むしろ行きたくないと言った筈だが)オーナーにむりやり連れて来られた。
『より確実な確認をして行った方がいいと思いますよぉ〜』
にっこり笑った顔が目に浮かぶ。
昔からいけ好かない奴だと思っていたけどここまで来るとうざかった。藍を怖がらせるなんて許せない、なんて悪党。僕は全然怖くないけれど。
しかもこいつはときどきこちらを振り返って、藍が怖がっているのを楽しんでいるようだ。
とても頭にくる。
「えーっと、新しい子たちはー……あっ、ここっすね。ここからあっちまでの檻が今週入った子です〜」
やっと見つけた、という顔をして、オーナーは檻を指差した。
別に見たくないのに背中を押されて、僕は柵の向こうの暗がりを覗き込む。
ランプの明かりで薄ぼんやりと浮かび上がったのは、さっき入り口で見たような痩せた少年だった。
よく見えないとは言えど、骨と皮みたいな体型をしていれば嫌でも目に付く。
何食ってんだと呆れたところで、僕は彩を思い出した。
彩もちょうどこの子と同じような体をしていて、この子と同じ奴隷だった。藍があの時あの男から買い取っていなければ今でもそうだっただろう。
彩もこの子も同じ?
「………彩みたいだね」
ちょうど僕と同じことを考えていたらしい藍は、そう言って哀しそうな顔をする。
いつの間にか嫌悪感は消え、胸の中に小さなしこりだけが残っていた。
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