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素直になれないクリスマス④
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街中を歩けば楽しそうなクリスマスソングが聞こえてきて、葉っぱが全て落ちた裸ん坊の木が、綺麗に飾り付けられてキラキラと輝いている。
ショウウィンドウには、クリスマスプレゼントがディスプレイされていて、見ているだけで幸せな気持ちになった。
「もうクリスマスか」
つい、頬が緩んでしまう。
俺は昔から、『付き合って〇年記念日』とか、『クリスマス』とか、あまり気にしてこなかった。言われればそれなりに対応したけど、明らかに相手とテンションの差は感じていた。
「だからフラれてきたんかな」
今更反省しても遅いけど、俺は少しだけ考えてはみた。
でも、そんな心配もこれからはする必要はない。なぜなら、成宮先生はそういうイベント事に興味がないタイプらしい。
この前、看護師さんと話していたのを聞く限り、クリスマスはスルーして大丈夫そうだ。
俺は、今まで彼氏がいたことなんてなかったし、いい年した男同士がクリスマスをどう過ごすのかなんてわからないけど……特に気にせず通常運転でいいだろう。
「男同士って楽でいいなぁ」
女の子と違って気を使わなくて済む。
「あ、でも……クリスマスって先生の誕生日だっけ?」
そう、クリスマスである12月24日は、成宮千歳様の生誕された日でもあるのだ。
クリスマスイブに誕生日なんて、どこまでも特別な人物なんだろう……と、ここまで来ると感心していまう。
「ま、いっか。先生、そういうの気にしないタイプみたいだし」
少しだけ戸惑ったけど、本人が気にしないと言うんだから、素通りして大丈夫だろう、と俺は簡単に考えた。
「ケーキくらいは買った方がいいのかな?」
その時俺は考えてもいなかった。
聖なる夜に、神の逆鱗に触れてしまうなんて。
クリスマスイブ当日。そして、成宮先生の誕生日。
東京は残念ながらホワイトクリスマスとは行かなかったけど、クリスマスムード一色だった。
病棟で昼間行われたクリスマス会では、俺がサンタクロースの格好をして、子供達にプレゼントを配って回った。
「ありがとう、サンタさん!」
みんなの嬉しそうな顔が、クリスマスツリーのようにキラキラ輝いていたのが、とても印象的で……俺まで幸せな気持ちになれた。
「さて、残りの仕事を片付けちゃおうかな」
クリスマス会のせいで、仕事が後手後手になってしまい、残業しないと全然終わりそうもない。
それでも、俺は温かい気持ちで仕事に取り掛かった。
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