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クリスマスSS Mの愛3
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「あ~、美味しかった!!」
リビングのソファーで落合が満ち足りた表情で腹を摩る頃には、二人は風呂と食事を済ませていた。…二人の前には、クリスマスケーキが乗っていた皿が、今やすっからかんになって鎮座している。
「な、なぁ…、仁。」
隣にちょこんと座っていた我妻は、身を乗り出して恋人の顔を覗き込む。鼻先数センチ前まで一気に距離を詰められて落合はたじろぐ。
「え…。京司さん、どうかした??」
「…何で逃げんの??」
我妻がぐいと顔を寄せると、同じ分だけ恋人が引け腰になる。イライラしだして眼光がきつくなる我妻に、恋人は慌てだす。
「いや…、そう、じゃなくって…。その…このままだとキスしちゃうから…。」
「しちゃう、じゃなくて、しようとしてんだよ。…俺とキスすんの、イヤなのか??」
ガラにもなくド直球で訊いてしまう年上の恋人に、落合はおたおたしつつも、何とか答える。
「大好き…デス。はい…。」
「…じゃあ、動くな。」
口調がきつくなり、年上の恋人は内心歯ぎしりする。理想のムードを出したいのに、現実は無縁の独りよがりな空気になっていく。落合といると…何もかも調子が狂う。
やっと唇が触れ合う…直前。
「待って!!」
何故か一声叫んだ落合が、年上の恋人の顔を左右の手で挟み込む。
「へぶッ!!」
結果、くしゃみした後みたいな無様な声が我妻から発されてしまった。
「…。」
「…。」
二人とも大人なので、今の出来事はなかったことにして、互いに身体を離す。
「…何だよ、やっぱイヤなんじゃねぇか。」
未練がましく呟く我妻に、年下の恋人が反射的に答える。
「ちッ、ちが…っ。急にどうしたのか、訊きたくて…。」
我妻はぷくぅっと頬いっぱいに空気を溜め込んで、黙り込む。
「…きょ、京司さん…??」
「クリスマスプレゼント、忙しくって買ってねぇんだよ!!…でェ、お前が欲しいもんって何かなって考えたら…その…最近シてねぇし。俺を抱くのをお前に許してやろうかなぁ~、って思って。」
ふくれっ面で不機嫌度MAXの年上の恋人に、落合はぽかんと口を半開きにしている。
「わかっている!!わかっているんだよ、俺だって!!さすがにこの年で、『プレゼントはオ・レ(はぁと)』みたいなノリは無理があるって!!で、でもッ、しょうがないだろ!!手ぶらで帰って来ちゃったんだから!!せっかくのクリスマスなんだから、恋人には何か欲しいもんあげてやりたいって思うのが人情ってものだ…ッ!!」
刹那。我妻の視界が、暗転した。気づけば、両手を頭上に封じ込められ、ソファーに押し倒されている。華奢な恋人に馬乗りになっているのは、ギラギラした目つきの落合だった。猛禽類が獲物に焦点を絞ったような灼熱の視線に、一気に獲物は自分が置かれた立場を理解してしまう。
「今夜は、京司さんを抱いていいってコトですか??」
フーフー、と押し殺した興奮の息遣いが、落合の自制の強さを物語っていた。我妻だって、わかる。落合は確認したいのだ。…最愛の人の、同意が欲しい。
「…うん。」
誘うように淫靡に腰を揺らしてから、我妻は小さくこくん、と首を縦に振ってみせた。年上の恋人の目の下にうっすらと朱が浮かぶ。
「…おいで。」
おずおずと許しを口にすれば、飢えた男が上から覆い被さってくる。荒く、熱く少し湿った息遣い。我妻の頭上、両手首をシーツに縫い付けた片腕が、ぎりりと爪を立ててくる。キツいほどの束縛に、年上の恋人はふっと口角を引き上げる。
視線が濃密に絡み合う。相手を慮るような落合の視線を、年上の恋人は挑発するかの如く睨み返してやる。言葉など、二人にはもういらない。この手だけでは数え足りないほど、二人は睦みあい、今日まで生きてきた。
二人はぎこちなくキスを始める。触れるだけのキスから、互いに首を傾げ、唇を擦り合わせて、それぞれの快楽をより多く、大きく楽しもうと口を開く。落合の舌が、相手の口腔へと侵入する。不安と快楽に震える年上の恋人を空いた片腕で痛いほど抱き寄せて、二人は挑むように、溶け合うように、一つに合わさっていく…。
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