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暗い暗いどこかの資料室で僕はいつもの三人に暴力を受けていた
「なんか飽きてきたな。最初はピーピー泣いてやめてー! って言ってたのに」
「こいつも飽きてきてんじゃないっすか? もっと楽しいことしましょうよ」
「…例えば?」
こういうとき、気を失えたらどれだけ良かっただろう
痛みが気を失うなって言ってるみたいで体はぴくりとも動かないのに、変に意識だけははっきりしていて三人の声がはっきりと聞こえる
典型的ないじめを、受けていた
机がなくなるだとか教科書がなくなるのはない、だけどこうして授業中なのにも関わらず僕を連れ出して見えない暗い場所で暴力を振るう
「………」
三人の言うとおり、最初はやめてと叫んでどうにか助けてもらおうと教室を飛び出したりサボったり先生に言ったりもした
だけど三人の嘘が上手くて僕の被害妄想で終わってしまった
少しだけ怒られたらしいけども、三人は何も聞いてないかのように笑いながら僕に近付いて連れ出してはまた殴られる
三人の一人でリーダーになってる相馬君の気分次第で僕の今日が決まるみたいな毎日になっていた
「おい、寝てんじゃねーぞ」
「……っ、ぅ」
相馬君の蹴りが左肩に当たって思わず呻く
そんな毎日だったから、もう何も思わなくなった
抵抗しても無駄だってわかってるから全部を閉じ込めるようにしてひたすらに耐える。もう、これしか方法がない
「けほっ……ぅ、」
どうして…僕なんだろう、何かしたわけでもない
何かされて仕返しをしたわけでもない
それなのにいつの間にか始まって、授業をしている先生も僕たちが抜けることに何も疑問に思わなくなった
薄々気付いてる先生もいるんじゃないかなって思うのにまるで口にするのが恐ろしいかのようにして授業を再開する
見て見ぬフリをするのがほとんどだった
「時間も時間だ、今日は帰る」
「そーだな。あー明日からどうすっかな…ふあ…」
欠伸をするぐらい退屈なら、僕じゃなくて別なことをすればいいのに
足音が遠くなっていくのをただ聞いてることしか出来ないけど、終わったことにほっとしていた
三人は笑いながら何事も無かったかのように別な話をして資料室を出て行く
「…はぁ…っ」
腕に力を入れても、体は起き上がらなくてぱたりと力尽きて倒れ込んでしまった
「…はっ、ぅ…っく」
ドクドクと脈打つように痛くなる体に息が荒くなる
でも…構わなかった
どうせこの生活に終わりなんてない、それなら卒業まで耐えればいい
大丈夫、もうちょっと頑張れば卒業…出来る、だろうし
もし出来なくても今のクラスからは離れられる
耐えられれば、死ななければ…それで、いい
「…ぅ…」
目の前が、ぼやけてくる
資料室の電気が付いてないから今どこにいるのかもわからない
…いい、のか
このまま見つからなくて死んだりしてたら大騒ぎになるだろうから
……ああ、でもさっきは死なないようにしなきゃって思ってたのに、今は死んでもいいかなんて考えてる自分がいる
どっちがいいのかな
死にたいのかな、死にたくないのかな
…死ぬってどういうことなのかな
ここみたいにただの真っ暗で静かなところに来ることなのかもしれない
それだったら、今の状況より…いい気がする
ここは痛いから嫌だ
どっちが今の僕に合ってるんだろう
段々と力が抜けてそのまま僕の意識は落ちていった
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