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「大丈夫か?」
目を開ければ眩しいくらいの白で思わず眉が寄る。声がする方に向けば保健室の石川先生が心配そうにしていた
「…せ、せ…ぃ……」
声が思うように出なくて思わず喉を触ろうと腕を動かす
だけど上手く動かなくて不自然に手がふらふらと前に伸びるだけに終わってしまった
「ああ。ここにいる」
握る先生の手が温かくてそれだけでぽろりと涙が出てくる
僕と正反対なぬくもり、それが恥ずかしくて安心した
小さい頃からずっとあったぬくもり
でも、いつか先生も僕を…っ、見捨てるかもしれない
「祐?」
「っ、な…に…?」
座っていた先生が立ち上がって顔を近づける
僕の苦手な悲しそうな、辛そうな表情していて先生の手をぎゅ、と握った
大丈夫だと小さく笑っても難しそうな顔をしたままで目を反らした
「まだ、寝てろ。熱もこれから出てくると思うから」
微熱が続いて最近ようやく下がったのに、また出てくるのかと自分の体が嫌になる
もう何も感じたくないのに体が全部覚えてるのも嫌だった
「病院、行くか?」
ふるふると振れるだけ首を横に振った
病院だけは嫌だ、自分が…自分じゃなくなる気がしてわからなくなるから
「大丈夫、わかった。祐が行きたくないなら」
いじめられて痛くされるよりもこうして先生に心配される方がもっと胸が痛む
ごめんなさい、先生
でもあそこだけは本当に嫌なんだ
「…っ」
先生は僕を抱きしめた。あったかくて優しい、先生の…僕の、唯一の今の家族
「先生…ごめ、なさ…」
こんなにも弱い僕で先生も嫌だよね
そう零せば苦しいくらいに強い力で抱きしめられた
先生、僕は…どうすればいいのかな
どうすれば、この生活が苦痛に思えなくなる…?
+++
ひどい怪我してるからと先生と寮に帰ってきた
授業中だから、誰もいなくて見つかることもなかった
ありがとうございました、と言うと頭を撫でられて少し恥ずかしくなる
先生頭撫でるの好きなんだなって思いながらくすぐったくて、でも心地良かった
そんな思いで先生と別れて僕も部屋に戻るとすぐあるドアの向いた。相部屋の高橋は授業中だからもちろんいない
僕が通ってる中学は全寮制で男子校だからバイとかゲイが多い
一時期あまりにもひどい時期があってそれ以来、寮はオートロックになったらしい
だから部屋は安全…なはず
「……っ…」
重い痛みで体を引きずって自分の部屋になるべく急いだ
先生と歩いてるときは支えてもらってたから楽だったけどどうしても一人だとまだ辛いみたい
居間のドアを開けたところで目眩もしてくる
気持ち悪くて思わず手で口を押さえてその場にしゃがみ込んだ
「…はぁ、っ、は…」
ぐるぐると目の前が回って見えてぶわりと寒気と冷や汗も出てきた
自分がおかしくなるような、この感覚が一番怖い
「…っ」
先生に、と携帯を取り出そうとしても上手く動いてくれなくて横に落としてしまった
さっき別れた先生にどうにかして連絡しないと、と思って拾おうとするけどそれよりも目眩がひどくなって横に倒れる
どうして僕ばかりこうなるんだろう
心臓がバクバク鳴って苦しいのに、変に冷静になってる自分がいる
このまま…
このまま死ねたら…どれだけ良いだろう
全部を諦めるように目を閉じれば意識もなくなっていった
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