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5 高橋side
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高橋side
しばらくして先生が部屋から出てきた
坂崎は多分このままもう今日は出てこないだろう
「…先生」
坂崎は大丈夫なんですかと聞く前に、頭を撫でられた
「知らせてくれてありがとうな。もう大丈夫だ」
「…よかった」
よかった、本当に
過呼吸では死なないってわかってたけど坂崎を見てたらそれは嘘なんじゃないかって思うほどに苦しそうだったから俺まで震えていた
「高橋も辛い思いさせてごめんな」
「そんな! 俺も何かできたらって思ってたんですけど、こわ、くて…」
そこまで追い詰めたのは紛れもない、俺だから
…違うか、俺たちか
ベッドで休んでる姿を想像をすれば、先生に怒られる状況なはずなのにどうして怒らないんだろう
俺たちのせいで坂崎はあんな風になっているっていうのに
「それじゃ、先生は帰るから。今日はありがとう。高橋も疲れただろ、早めに寝るんだぞ」
ドアの閉まる音を聞いて俺は座り込んだまま坂崎の部屋に目を向ける
今までそんな姿見せてなかったから、どこかで大丈夫だろうと勝手に思っていた
でも、そんなわけなかったんだ
時折クラスの誰かからの暴言とか連れ込まれる姿をたびたび見てたけど俺だったらきっと学校に行かなくなるぐらい、ひどいものだ
これを知ってるのは俺たちのクラスと担当してる先生だけだ
教えてる先生も坂崎のことを良く思っていない
見て見ぬフリを平気でしている
それでも坂崎は何も言わず、誰にも言わずただされるがままだ
誰も味方がいない、頼れる人がいない、場所がない
「……っ」
坂崎を、助けたいと思う俺は変だろうか
…頼りないし坂崎より弱いと思うけど、それでも…、何か出来ないかな
「もうあんな目…させたくない」
いつ死んでもいいような光のない目を見て正直ぞっとした
いつからそんな目になっていたんだろう
ふらふらとどこかに行って帰ってこないような…そんな気がするほどだった
時々、先生がここを出入りする。その度に胸が痛くて俺も自分の部屋に閉じこもるぐらい罪悪感は感じていた
どうすればいいのかわからなくて、ずっと気まずいままを過ごしていた
…何回も何回も、坂崎はあんな風に苦しくなっていたのかな
「……でも俺は…」
助けるようなこと一回もしたことないし、大人の先生の方が絶対信用出来る
「…っ、どうしよう…このままじゃ、本当に死んじゃいそう…だよ」
どうすればいい
俺と少し話しただけであんなに取り乱して、過呼吸まで起こさせた
あんなに怖がってると思ってもなかった
「何もしない方が、いいのかな…」
変に俺が入ってもきっとまた同じ事が起こると思う
助けたいとかそんな大きなことじゃなくていいから、何か先生の代わりみたいなことを出来るように…なりたい
…俺に、出来ること…先生に相談してみようかな
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