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いつの間にかぐっすり眠っていて体も朝より少し楽になっていた
そういえば…高橋は昨日僕を見て辛そうな顔してたなと急に思い出してドアを見る
こんな僕と同室だからきっとすごく嫌だと思うし、あまり話もしないから昨日は僕もびっくりした
「…変な同情、かな」
そんな同情されるくらい弱ってたんだろうな
ふと時計を見れば七時ぴったりだった
高橋は部活に入ってるみたいで朝練もあるのか起きたらもういないことが多い
僕はその間に洗濯したり、自分の部屋と共同ルームを掃除したりしていたし、ご飯とかシャワーも高橋がいないときにこっそり行って済ませていた
たまに鉢合わせにはなるけどお互い話もしないで自分のしたいことをしていないものとしていたから特に何も思っていなかった
「…そう言えばどうしてあのとき、先生来たんだろう」
連絡もしてなかったはずなのに来てくれてたな
もしかして先生、何か用事があって僕に連絡してたけど返事がなかったから心配で来てみた…とかかな
部屋に戻ったらメールしてみようと一回ぐるりと共同ルームを見渡す
片付け忘れてたりしてないかどうかだけ最後確認をして小さく頷いた
洗濯物はさっき全部終わらせたから大丈夫、と自分の部屋に戻ってベッドに座りながら先生にメールを送った
こんな生活があと半年ぐらい続くのかと思うと途端に体が重くなる
学校、か
「………」
少し時間が空いたから寝ようと横になって目を閉じる
きっと次起きたら少しだけこのもやもやとした気持ちはなくなっているはずだから
そうして起きればもう夕方になっていて夜ご飯まで勉強の復習をしたりしていた
起きたとき先生から返信が来ていて特に用事は無かったが、高橋が連絡してくれたと書いてあってびっくりだった
「……どうして」
どうして、今になって助けたりするんだろう
クラスの状況を見てたって高橋が助けたら一緒にいじめられるのは目に見えてるのに
きっと耐えられないと思う。部活だって辞めさせられるかもしれない、楽しいと思ってる毎日が一瞬で地獄に変わるかもしれない
「…わかんない」
わからなくてもいいのかと考えるのを止めると部屋のドアを叩く音がして振り返る
「先生?」
「いや。俺、高橋だけど」
「……」
いつの間に帰って来たんだとドア越しなのに怖くて体が震える
放っておいてほしかった、もう少しで卒業なんだからこのままにしてほしい
いじめとかそういうの関係なく放っておいて欲しかった
こうして寄ってくるのが…何を考えてるのかわからないから怖い
「昨日の今日で、その…戸惑ってるかもしれないけど、さ。俺…」
聞きたくない
嫌な予感が、止まらない
「坂崎のこと、助けたい」
「……っ」
自分からこっち側に踏み込んでくる言葉を信じたくなかった
いつの間にか流れてる涙は止まらない。僕一人で良かったのにこんなことになるなんて、思ってもみなかった
「俺はもうクラスのみんなみたいに一緒になって坂崎をいじめたりしないから」
だめだよこっちに来ないで、どうして自分から苦しい方に来るの
一昨日までは無関心だったはずなのに
どうしよう
どうすればいい…?
そんなのいらないって言えば諦めてくれるだろうか
怒ればいいのかな
わかんない、わかんないよ…っ
高橋の話は終わったのかいつの間にか声はしなくなった
それでも涙は止まらなくて、伝えたいことも伝えられなかった
先生も、このことは知ってるのかな
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