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13 先生side
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先生side
――キーンコーンカーンコーン…
「っと。もう昼か…、相変わらず誰も来ないな。良いことだ」
何かしら保健室に来る生徒はたくさんいる
眠いから、という理由から怪我をした、学校に行きたくないまで本当に様々だ
それだけ中学生はいろんなことに敏感で自分を守りながらいかに自由に行動するかを探しているようにも見えた
何回かのチャイムでも今のところ高橋が起きた様子はなかったが、そろそろ腹が減ると思って一度起こそうとカーテンが閉まっているベッドまで向かう
小さく開ければ寝返りで少し布団がめくれているも、ちゃんと眠っていた
「ここまで熟睡してるのを起こすのは少し気が引けるが、仕方ないか。高橋、起きろ」
「……ん…んー…」
小さく呻いた後、すぅとまた寝息が聞こえて意外と起きないんだなと新しい発見をした
「おーい、もう昼だ。ご飯食べに行くぞ」
「んー…たべるー…」
そこでようやく目を開けて起き上がったのだが、寝起きでぼーっとして座ったまま動こうとしなかった
「意外だな。サッカー部って朝練もあるんだろ? 行けてんのか?」
「…朝練、なんとか…いけてます…ふぁ」
「それは偉いな。顔洗って行くぞ、早くしないと閉まる」
はい、とまだ少し反応が鈍いながらも高橋は今度こそ立ち上がって備え付けの洗面台へとゆらゆら揺れながら移動した
+++
「もう結構遅い時間ですけど、まだ人いるんですね」
「ぎりぎりまで話したいんだろ。この時間帯は思ったより人が多い」
へえ、と零した高橋はスタミナ丼を頼んでもう食べ終わっていた
俺も生姜焼き定食をさっき完食をして休んでいる
「午後はどうする? 早退するなら紙書くが」
「んー…具合は悪くないんで、本当は授業行かなきゃいけない…ですよね」
少し困ったように笑う様子に、高橋も何かしら教室に居にくくなってしまったかと考える
「今日ぐらい休んでもいいって言っただろ。そろそろ時間になるし、保健室戻るか」
「…はい」
高橋の問題は一緒になっていじめられないかということと、今までの友人関係や環境ががらりと変わってしまうことだ
あまり変わらないようにも思うが安定していた学校生活でそれが急に悪い方向へと傾くのは精神的にもとても辛いものがある
疲れが出たとは言ったが、今回のこの不調の原因はそれじゃないかとも考えた
そしてわかったことは高橋は思ったよりも心身への影響が高い
頑張りたいと思っていても体がついていかないと考えている時点で、何かしら体に影響が出ている証拠だ
…少し、様子を見ておかないと
「あの、先生。坂崎、保健室登校とかじゃダメなんですか?」
「何回かさせたんだが、あいつらに見つかった。保健室に祐がいると一緒になって居座るんだ。俺もいたからあからさまないじめはなかったんだが、職員会議でいないとなると起こるだろ」
「……」
授業に出ろと言っても聞かなかったから、追い出したりもした
だが保健室を出禁にすることは出来ない
それをあいつらも知っていたんだろう
教室よりも人が少なく、密室だ
祐が保健室に来ることすら怯えた為に、学校に行くならせめて人が多い教室か唯一オートロックで安心出来る寮かの二つだった
教室は授業が受けれるし、先生の目もあるから比較的安全らしい
俺にとっては教室こそ怖いと思っていたのだがそうでもないようだ
――キーンコーンカーンコーン…
「ちょうど午後の授業開始だな。一応お前の意見を聞かないといけない決まりだから聞くが、どうする」
「…正直に、言った方がいいんですよね」
「まあな。無理してまた疲れると後々辛いぞ」
椅子に座らせて聞く。さっきよりだいぶ顔色は良くなった
「……ここに、いたいです。先生と話してた方が安心する、というか…坂崎は多分、一人がいいと思うので」
「わかった。早退届け書くから今の授業にいる先生に届けてきてくれ。鞄持ってもう一回ここに来い」
「はい、ありがとうございます」
先生に渡してくるだけだから大丈夫であろうと思いつつ、早退届けの用紙を書く
適当に理由を書いて渡した
「気をつけてな。無理そうだったら戻ってこい、電話で伝えるから」
「…はい」
さっきより足取りは遅いが、高橋も行かないといけないことはわかっているようで躊躇いはなく保健室を後にする
「…さて、一応あいつに連絡しとくか」
話を入れておくことぐらいはしておこうと携帯を開いた
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