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22 *自傷表現あり
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*自傷表現あり
あの後は特に何も話さずいつも通り一人で過ごした
僕はずっと部屋で高橋の今までのことを出来る限り思い出していた
助けるって言ってたけど、いじめは無くならないってそんなの出来る訳がないって返した
でも…何故か伝わらなかった…多分、ここからだ
「いらないってもっと言えば、高橋は来なくて済んだ…?」
叫びでもして叩けば、わかってくれたのかな
全部が全部…もう遅いけど、今ならまだクラスの方に帰せるんじゃないかと思っていた僕はずっと寝るまで考えていた
そして次の日の朝、風邪でもないのに何だか怠くて気持ち悪かった
今日も相馬君達は学校にいるだろうし、今度こそどこかに連れて行かれてしまうかもしれない
「……」
それでも、学校に行かないとなと思うと高橋が刃向かったあの時のことを思い出してぐるぐるする
段々と気分の悪さが増して、口を抑えながらベッドから出てテーブルの横に座り込んだ
――コンコン
「坂崎? 起きてる?」
高橋の呼ぶ声も今はすごく鬱陶しく感じて返事をしなかった
しばらくして、寝てると思ったのかいってきますと小さく聞こえた
ドアが閉まった音を聞いて吐き気を逃がすように息を深く吐く
「…っ、はやく」
はやく、はやくしないと。揺らがないうちに…はやく
ふとテーブルの引き出しを開ければ小さなカッターを見つけて手に取る
なんであるのかわからないけど僕は刃を出して迷わず自分の腕を切った
別に痛みが欲しいからじゃない、むしろ痛いのは嫌い
でも、これはやめられない。どうしてかわからない
いつの間にか血まみれになった左腕を眺めて、臭いでとうとう吐いた
でも、足りない
ざわざわが…治まってくれない
息苦しい中、血まみれな腕の上からカッターを押し当てて同じように切ろうと思ったけどぬめってなのか、それとも力が入らないからなのか切れなくて滑り落ちていく
「…はやく…こほっ、もう、おわり…にしたい…っ」
まだ綺麗な右腕に当てて力一杯に切っていく
その切り口から流れる血はまるで涙みたいで、思わず視界も滲んできた
…どうして、こんなことになったんだ
「っう…、ど、して…っく…どうしてっ」
ただ、みんなと仲よくしたいだけだった
ただ、お父さんとお母さんと一緒に暮らして…大好きだって愛して欲しかっただけだった
「ぅえっ、げほっ、けほ…は…っく」
血の臭いにまた吐いた、頭もぼんやりしてくる
「っ…ふこうに、するくらい、なら…」
誰かを、高橋を、先生や桜井さんもいつか僕に関わってるせいで不幸になってしまうんだったら…もういっそのことここで
「…しにたい…っ、こんな、ぼくは…いらない」
きっと僕がいなければみんなが僕のことを考えなくて済む
それに悩ませることもない
お父さんとお母さんに、天国で大好きって言ってくれるかもしれない
「…っ、ひ…ぅ…ご、めんなさい…ごめんなさい…っ」
ぽたぽたと、涙と血が混ざる
最後にもう一回右手に持ち替えて、思いっきり左腕を切った
手の力がもうなかったのかカッターが血だまりの所に落ちる
ことんというその音が全部終わったと言ってるように感じて意識も段々と落ちていった
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