アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
49
-
「起き上がって大丈夫なのか」
「…うん」
目が覚めたら寮にいた
少し動けば思わず呻くぐらいに痛かったけど包帯とか湿布を先生がしてくれていた
病院で検査も受けたみたいなんだけどそれは全く覚えてない
でも特に異常はなくて、入院もなしでいいって先生から聞いた
後は動けるようになるまでは安静。学校は…あの日で最後にしようと思っていたらもう行くことはない
「…先生、高橋は」
「まだ熱は下がってない。けどそれだけで怪我はないから大丈夫だ」
「…良かった」
お礼、言わないとな
あの時は頭も痛くてずっと起きたり寝たりをくり返していたから何も話せないままだった
「行ってみるか」
「いいの?」
「ああ。たまに歩くぐらいならいいだろ。痛みがひどいようなら抱えて行くが、それでもいいなら」
うんと頷いて僕はベッドをゆっくり降りる
…お腹、少し痛かったけど歩けないほどじゃなかった
「大丈夫か」
「…うん。少しだけ、痛いけど」
そう言うと先生は支えてくれてゆっくりゆっくり、高橋の部屋へと歩いて行った
「…先生? 坂崎も…?」
「ああ。調子はどうだ?」
部屋に行けば高橋は起き上がっているけど体育座りをしていた
寒いのかと思って布団を引っ張ればありがとうと布団を引き上げる
「…怠い以外は大丈夫、です」
「軽く咳き込んでただろ、それもだな。熱は変わらずか」
三十八度を行ったり来たりしてるみたいで、なかなか下がらない
「…先生、すいません…坂崎のこと、全然守れて…なくて」
怠そうに、どこか暗く言う
「高橋のせいじゃない。その話は二人とももう少し良くなったら話すから、今は休め」
「……はい。ごめんね、坂崎」
笑おうとしてるみたいだけど、笑えていなかった
「…ううん。ありがとう」
あまり話をするのは僕もまだ痛くて出来ないからお礼だけ、先に言っておきたかった
「っ…ごめん」
――コンコン
「あ、ここにいた。二人ともどう?」
「明良。今の所はまだ安静だな」
桜井さんは閉じ込められてた日、仕事に行っていた
僕たちが帰って来た後に帰ってきて先生から話を聞いたらしい
僕が起きたとき、先生に怪我を診てもらって桜井さんにはあの時のことをどれくらい覚えてるとか怖いことはなかったかの話をした
その後に高橋の所に行ってたから、きっと同じことしてたんだと思う
「高橋君。横になるの辛い?」
「…少し」
「それなら寄りかかってた方が楽になるよ。目眩とかする?」
「…いえ」
そう話しかけていく桜井さんをぼんやりと見ていたら先生がそろそろ戻るかと立ち上がる
「祐を部屋に送っていったら高橋もう一回診るから明良はなるべく聞き出しといてくれ」
「わかった。坂崎君も痛みが強かったら遠慮なく言うんだよ」
「…はい」
ゆっくり立ち上がって、先生が支えてくれる
振動で本当は痛いんだけどでもこれは慣れないといけないものだから
「動けるか」
「…うん。まだ大丈夫」
「痛み止めもあるから、無理するなよ」
頷いて自分の部屋に戻る
高橋と少しだけ話せて良かった
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
49 / 62