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最近、北斗には悩みがあった。
要と付き合って一年近く。
2人はそれなりに幸せな時間を重ね、愛を育んできた。
少なくとも、北斗はそのつもりだ。
要は相変わらず喜怒哀楽をあまり表には出さないが、それでも北斗には心を許してくれている様子だった。
他人から見れば、――同性という事を除けば――何の問題も無く見えるだろう。
けれども、未だに要は、きっと湊を忘れていない。
普段は、北斗の事を見てくれているが、ふとした瞬間に、要の目には自分が写っていないと感じる事がある。
ソファに座ってぼんやりと宙を眺める要は、公園に座っていたいつかの要と同じ顔をしている。
あの時は声をかけられたのに、今は……。
その顔を見るたびに、北斗の胸が刃を突き立てられたように痛む。
“好き”という感情が、北斗を臆病にさせる。
『結局、俺は湊さんに勝てないのかよ…』
苦しさに、息をするのもままならない。
そしてもう一つ、気になることが。
月に一度、要はどこかに出掛ける。
そりゃあ、要にだってプライベートはあるんだから、出掛ける事だってもちろんある。
が、何かが違うのだ。
買い物等ではない。
やけに改まった服装で、神妙な面持ちで出掛ける。
それは仕事前の早朝だったり、休みの日の日中だったり。
じっくり観察して気付いたこと。
曜日は関係無く、毎月15日に出掛けている。
そして、ソファにぼんやり座っているのは、決まって15日前後。
ある日、北斗はついに我慢出来ずに要に当たってしまった。
要が、写真を見ていたから。
要と、綺麗な男が、2人で幸せそうに写る写真を…。
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