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店から出て来た要の手には、真っ白なユリの花束。
純白の花束は、何を意味するのか…。
間もなく、北斗は真相を知ることとなる。
要の車が、目的地に着いた。
目的の、墓地の駐車場に。
車を停め、エンジンを切った要の手が、ハンドルを握ったまま震えている。
北斗がそっとその手を取る。
「ごめん、大丈夫だから…。
ありがとう、行こうか…?」
自らに言い聞かせるように呟いた要の顔色は、血の気が引いたように白かった。
少し迷いながらも、要が歩を止めたのは、幸村湊の墓の前。
「…要さん…、湊さんって…?」
「…死ん…だんだ…。
…4…年前……。
俺の………目の前で…」
呼吸が荒くなり、膝が震えてしゃがみ込む要を、北斗が慌てて支える。
要の手は小刻みに震え、凍ったように冷たかった。
漸く要が少し落ち着くと、震えて上手く花を活けられない要の代わりに、北斗が墓に水をやり、花を活ける。
2人並んで、湊の墓に手を合わせた。
要は、長い時間、手を合わせ続けていた。
やがて、フッと軽く息を吐いて上げた要の顔は、憑き物が落ちたように、どこかスッキリとしていた。
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