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「左那とクラス離れちゃったじゃん...!」
「双子が一緒になる事の方が珍しいんじゃね?」
入学式が終わり、クラス分けが印刷されたプリントを握りしめて、右那はぶーたれている。その頬をつつきながら言えば、ジトリと睨まれた。
「寂しくないの?!」
「いや、家に帰れば嫌でも会えるだろ」
「少しくらい茶番に付き合ってくれても良くない?」
冷めた返答をすれば、乗ってこない事が分かったのかコロリと態度を変えて足取りは振り分けられた教室へと向かう。
この切り替えの速さは兄妹として見習いたい所だ。
「今日一緒に帰る?」
「うーん、どうするかな。右那だれかと遊びに行ったりしないのか?この後なんて軽い説明受けて解散だろ。午後からは上級生の始業式らしいから」
「と言ってもねぇ。同じ中学の子殆どいないから、初日から遊びに行ける子いるかなって感じ。わざわざ他校の子誘う気分でもないし」
「確かに」
そう、俺たちは地元から少し離れた高校に進学した。
そのため知り合いは本当に少ししかいない。
なぜ離れたところに進学したかは、単刀直入に言えば俺の都合だ。
自分が同性愛者と理解してから、人と長く付き合いたくなかったからだ。付き合いが長ければ長いほど相手の良い所が見えて好きになってしまう。
それは苦しくて怖い事だった。相手は友達として仲良くしてくれてるのに、俺は恋愛感情で好きになってしまったら。そしてその関係を壊してしまったら。そう思ったら怖くて仕方なかったんだ。
だからあえて離れた訳だが、優しい妹はついて来てくれたわけである。
「とりあえず、あとでメッセ送るよ!左那もなんかあったら送ってね」
「了解」
気付いたら教室棟まで来ていたようで、右那は自分のクラスへと入って行った。
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