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第四話 車椅子(一)
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里で住むことを許されて、薄珂と立珂は最低限の荷物だけ持って慶都の家に移動した。
里の住民からは怪訝な顔をされることも覚悟していたが、思いの外彼らは歓迎してくれた。よくぞ同胞を助けてくれたと感謝をされると心苦しいが、子供をそんな危険な状態に置いてすまなかったと詫びてくれる者もいた。何より、立珂がここまで歩けないのだということを初めて知り、放置していた自分を責める者もいるようだった。
家族三人でしか生きてこなかった薄珂と立珂は大勢に囲まれるのは初めてで気後れした。けれど皆が立珂を可愛がってくれるのはとても嬉しかった。
賑やかな一日をすごした翌朝、起きぬけに薄珂は大声を上げた。
「立珂!? それどうしたんだ!」
「ふふ~ん! 一人でおきがえ!」
薄珂は寝台に腰かけている立珂の頭からつま先までをじっと見た。立珂は寝間着ではなく天藍から貰った普段着を着ている。寝間着ではない。着替えているのだ。
衣は釦式なので一人で着替えられるだろう。しかし気になったのは下半身だ。立珂は一人で立てないから履き替えるということができない。無理矢理頑張ればできるかもしれないが薄珂の目を覚まさないよう静かには無理だ。それがどういうわけか完全に着替えている。
「下はどうしたんだよ。何で? どうやって?」
「んふふ。これすごいの!」
立珂はんっと足を床と並行にするように延ばして服の全貌を見せてくれた。
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