アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第四話 車椅子(三)
-
「凄いじゃないか! さすが立珂だ! すごく可愛いぞ!」
「えへへ~。お裁縫おぼえたいな。そうしたら新しいのが作れるもの」
「良いな。おばさんに聞いてみよう」
「うん! うふふ。たのしいねえ」
立珂は貰った服を並べてこの組み合わせも良いかも、ここだけ生地を取り替えたい、と幸せそうに語り始めた。質感がどうとか厚みがどうとか、薄珂には全く考えの及ばないことばかりだった。まるで何かの教本を音読されているようで頭が付いていかない。けれどうきうきとした立珂の笑顔はそれだけで幸せを与えてくれて、薄珂は流れるように立珂に頬ずりをし続けた。
そうしてしばらく遊んでいると、こんこんと扉を叩く音がした。
「二人とも、起きてますか」
「あ、はあい!」
「そうだ。俺達だけじゃないんだった」
扉の向こうから聞こえてきたのは男の声だった。
家族以外と暮らしたことのない薄珂と立珂は起きてすぐお互い以外の誰かに挨拶をする事は無かった。だがここには慶都一家がいる。当然起きたら挨拶をするべきで、薄珂は慌てて扉を開けた。そこにいたのは慶都の父、慶真だった。慶都は父親似のようで面立ちがよく似ている。
「おはようございます」
「おはよう。ごめん。二人だけじゃないの忘れてた」
「いいですよ。少しずつ慣れていきましょうね。それより居間に行きませんか。良い物があるんですよ」
「いいもの?」
「腸詰?」
「それもありますけど、もっと良い物です。さあ」
「うん。立珂、おいで」
「ん!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
24 / 33