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第四話 車椅子(四)
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薄珂はいつものように立珂を抱き上げ居間へ行くと慶都と慶都の母は当然だが、金剛と、何故か天藍もいた。
「立珂おはよう!」
「慶都!」
慶都は駆け足で寄って来て、立珂の手をぎゅうっと握った。はじけんばかりの笑顔は立珂が大好きだと叫んでいるようで、薄珂は慶都に引っ張られるがままに長椅子に立珂を座らせてやった。
しかしその向かい側には天藍もいて、目が合うと口付けをしてしまったことが恥ずかしくてつい目を逸らす。けれど天藍はくすくすと笑っているだけだ。
「よく眠れたか」
「……何しに来たの?」
「ご挨拶だな。立珂に良い物持って来たってのに」
「立珂に?」
「よろこべ立珂! 天藍がすごいのをくれたぞ!」
「お洒落!?」
「はは。今日は違う」
天藍はよいしょと立ち上がり金剛に目配せすると、金剛の背に隠れていた物を前に出した。
それは肘置きの付いたゆったりとした椅子に大きな車輪がついていた。服に引き続き薄珂と立珂は見た事がなく、揃ってこてんと首を傾げる。
「う?」
「これ何?」
「使えばわかる。立珂が座って薄珂は後ろの持ち手を握れ」
金剛は軽々と立珂を抱き上げると車輪の付いた椅子に座らせた。床に広がる大きな羽を膝は背に取り付けられた籠に収納し、薄珂も言われた通り車輪付き椅子の後ろに立ち飛び出ている二本の取っ手を握った。
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