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【三歩】-7
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「いつから気づいてた?」
顔を上げずに幸平は端的にきいた。
「あー中学ん時かな。俺がユキのこと意識し始めて、それで気づいたんだよ。幸兄がユキのこと、俺と同じような目で見てるって」
智明の視線が頭上に注がれているのを感じる。
「そっか……」
幸平は動揺していることがバレないように小さく笑うと、手を止めて下から智明を覗き見た。わざと明るく厭味っぽい声を出す。
「つまり、二人して同時に振られたわけだ。あーあ、とんだ厄日だな」
「……」
「それで?智明はなんでうちに来たんだよ?一人で失恋するより二人の方が傷も浅くて済むとか思った?」
「……あー」
言葉に詰まる智明に、幸平は不敵な笑みを浮かべた。単なるノリにしてはそれはあまりに意地の悪い提案だった。
「じゃあさ、一緒に慰め合っちゃう?智明が男もいけるってわかったことだし……ほら体つきはユキと違うけど、声は似てるでしょ?」
「え……ッはぁ?」
驚きと呆れの入り混じった智明の声が部屋に響く。
「何驚いてんだよ。中学生の時には好きだったんだろ?想像でユキとセックスしまくってたんじゃないの?」
「いやいやッ」
慌てる智明に追い打ちをかけるように、幸平は智明の股間に手を置いた。
「好きなのに一度も想像したことないなんで嘘でしょ?ほら、もう反応してるじゃん」
「ッ……わけわかんないって。幸兄もユキのことが好きなんだろ?どんな道理だよ」
「こんなだよ。大事にしてきたんだ。ユキも、この気持ちも。なのにいきなり彼女ができましただって?笑える」
「幸兄、頼むから落ち着いてくれよ」
「何?いい歳して好きな人としかできないとかいうなよ。童貞じゃないんだろ?だったらいいじゃん。俺のバージンもらってよ。あ、掘るより掘られたいとか?」
半ばヤケクソだったが理性はあったし落ち着いていた。彼女が悪いわけじゃないし洋之だって悪くない。ただ行き場をなくした想いの吐口がほしかったのだ。
「……目隠し」
「なに?」
「お願いだから目隠しして」
堪忍した表情の智明に満足すると、幸平は「わかった」と椅子の背もたれにかけっぱなしになっていたネクタイを手渡した。ピンクベースに紺色のドット柄。去年の誕生日に洋之から貰ったやつだった。
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