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「好きだったんでしょ?つらいよね」
雨の降り止まない中庭で、背後からふわりと、花の香りが漂った。
振り返ると、綺麗な顔立ちの男が立っていた。
「あ……新郎さんのご友人の」
銀髪に、瞳は淡い緑色。人形のような美しさに圧倒されたレイは、上擦った声で答えた。
「新郎の名前も認識していないんだね」
美しく濡れた唇が冷たい言葉を溢した。
レイは、まだ少年のような顔つきの男に、心の奥まで見透かされた気がして苛立った。
「そんな綺麗な顔だったら女が途切れないだろ」
「そんなやつに俺の気持ちはわからないよ」
子供じみた言葉だと分かっていたが、なぜだか止められなかった。
人形は真っ直ぐレイを見つめたまま、寂しげに微笑んだ。
「初めから手にしていないんだから、途切れることもないよ」
レイは、向き合った美しい瞳に吸い込まれる思いがした。
その瞳に自分が映っていることが、不思議に思えた。
白い肌の人形も、じっとレイの表情を見つめていた。
レイが緊張していることがわかっていたが、彼もまた、レイの美しさに酔いしれていた。
しばらくの間、二人はただ立ち尽くしていた。風がふたりの髪を揺らした。
「お兄さんも、逃げ出したんでしょ?」
穏やかで優しく、それでいてどこか物憂げな声が沈黙を破った。
「ちょっと気分が重かったんだ」
レイは素直に答えた。
銀髪の人形は微笑んで、レイに手を差し伸べた。
レイは自然に、その手を取った。
「僕の名前はユキだよ。お兄さん、僕の愛人になってくれない?」
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