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狂宴
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厳しい視線を、周囲の男達にまんべんなく向けていく。
ひとつでも間違えれば…彼は即座に切り殺される。
シアンは決して隙を見せぬよう、平静を保ち彼等に相対した。
「──…今から僕を、抱きたい男(ヒト)はいませんか」
つとめて丁寧な口調で、かつ、相手を牽制する。
「僕は……上手いですよ」
「…!?」
「そこの少年とは違います。簡単に音(ネ)を上げることもありません。興味のある方はいませんか?」
誘惑の微笑みは必要ない。彼は相手を誘っているのでは無いからだ。
「……誰もいないのですか?」
「…な…に言ってる……お前…ッ…いきなり」
「貴方ですか?」
「えっ、いや…ッ」
ひとりが声を出せばすかさず標的とさだめ、話し終える前に問いかける。僕を抱くのは貴方かと。
「俺はっ、べつに」
「貴方でないなら……他の誰ですか」
「貴様っふざけるな!さっさとその武器を捨て──」
「何を怯えているのです?」
「…お、怯えてるぅ!?」
「僕が怖いですか?……まさかそんな筈がありませんよね。僕のようなクルバンは貴方達の足元にも及びません。この身体を使って奉仕するしか脳のない……最底辺の生き物だ……
だから
──…だから さっさと 僕を 抱いて下さい」
圧倒的な存在感でシアンが言い放つ。
媚びがいっさい無い今だからこそ、その色香は刃のように研ぎ澄まされ、冷たい美貌にゾクリと震えが起こる。
言葉をつむぐ唇の動きひとつひとつが…男達の意識を集めた。
武器を持つ手が力を失う。
欲情を無理やり掻き立てられる。
凛とした美貌にただただ魅了される……。
だがひとりとしてシアンを抱こうと名乗り出る者がいない。
“ く、喰われちまう…… ”
根拠の無い不安が、欲情した彼らを呑み込んでいるのだ。
この青年に手を出せば──喰われるのは自分であると。
「ここにいる全員の相手でも構いませんよ」
「は…ぁ…!?」
「それか──…そう、" 貴方 " からにしますか」
買い手のいない男娼がニコリとも笑わず切っ先を向けたのは、すぐ横で尻もちを付き倒れている浅黒い肌の大男だった。
それは偶然にも、練兵所で負かした時と同じ──
勝者と敗者が歴然とわかる立ち位置で、シアンはウルヒに詰め寄った。
「く、来るなぁ…!」
「遠慮なさらず……ねぇ?貴方のソレ、張りつめて苦しそうですよ?」
「なっ…!? ちょ、なにしてやがるっ…」
ウルヒの足元で跪いたシアンは、刀を置き、その右手を男の股間へ伸ばした。
爆発寸前のイチモツが、彼の手が触れた事で大きく震える。
「うおっ…!」
ウルヒは、わけもわからず興奮している自身の肉茎に目を剥き、厭らしくそえられた白く長い指に釘付けになる。
ツーーーーー……
「…ッ…あ//……触んなっ…」
「……」
「……!?………はあっ、あ……??…──ッッ」
根元から幹をゆっくりなぞり上げる指先──
「…くッッ…おおお!」
ブルブルと震えた後、シアンが先端をなぞりながら軽く息を吹きかけたのに合わせて、ウルヒは迸りをぶちまけた。
ドピュッ──…
「…ッッ」
「早いですね」
「ぅ゛…っ…ぁ…!?」
まともに触れられてすらいないのに限界を迎えたソレを、シアンが鼻先で揶揄う。
いったい何なんだこいつの色気は……!!
蔑みの笑みを向けられたウルヒは脂汗を浮かべて狼狽えた。
「でもまだ足りないでしょう?」
「…!?─ひ‥‥いやいい!触るな…!!」
「すべて、吐き出すまでお手伝い致します……!」
「‥ッ‥ぅ、おお!」
淫液が通り抜ける幹をシアンの五指が締め上げ、休ませてやるものかと動き出す。
しかし、そんな彼の手淫を妨げる者が出た。
「調子にのるなクルバン!」
「──…!?」
食堂に鳴り響いた怒号の後、シアンの身体は乱暴に突き飛ばされた。
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