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1話(3)
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「雪也。」
不意に名前を呼ばれ、傑と目を合わせる。
なんだかちょっと笑いを堪えているような?
「?」
頭にはてなマークを浮かべていると、傑の長い指が俺の頬に触れた。
後少しで唇に触れそうな、ギリギリのところまで指が近づいてくる。
ーーーうそ、ここじゃだめ、
「ほら、ご飯粒付いてた。」
そう言いながら、傑は指についたご飯粒を見せつけてくる。
恥ずかしすぎて直視できない。
少しでもやましいことを考えた自分を殴りたい。
「あ、ごめん。ほら、これ使って。」
そう言ってティッシュを渡したのだが、傑にはいらないと返されてしまった。
そのご飯粒はどうする気なのだろう。
疑問に思っていると、傑がご飯粒を口に放り込んだ。
「え!?」
何してんの!?
ご飯は1粒残さずという精神は素晴らしいけど、さすがにこれは。
傑は意地悪な顔をして僕を見つめている。
恥ずかしい、変な顔しているから見ないで。
「ご馳走様。」
触れられた箇所がまだ熱を帯びている。
どうしよう、勘違いしてしまう。
きっと傑は僕の気持ちに気づかずに、こういうことをしているんだ。
この気持ちは絶対に抱え込むと決めたのに、揺らいでしまう。
僕の決心はこんなにも軽かったのか?
「雪也?どうした?」
「ううん、なんでもないよ!」
傑を心配させたくないから、僕は無理やり甘い卵焼きを口に詰め込んだ。
絶対に明かされないであろうこの想いと共に。
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