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星は夜に抱かれ光り輝く〜人の顔がお金に見えちゃう貧乏貴族オメガは玉の輿にのりたい!のに苦学生アルファに恋する?〜
6話
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「良い人だったなぁ」
男爵家の屋敷に帰ったセルジュは、必要最低限の家具を置いた部屋のベッドでカルロスを思い出す。
まさか夢の中の少年と会う日が来るとは。
あんなに素敵な人だったとは。
まるで、物語の住人になったような気持ちだった。
あの人と、損得勘定無しの恋がしたい。
声が枯れるほど大好きだと伝え合って、唇が腫れるほどキスを交わして。
(それから、もっと深く繋がって……)
セルジュは自分の白い頸に手をやった。
カルロスの歯形をここにつけてもらえたら、どんなに幸せだろう。
夢見心地のまま、服に忍ばせていた発情薬を取り出した。
「こんなもの、捨ててしまいたいな」
薄桃色の液体を見ていると、紅潮した頬に影が落ちて本音が口から零れ落ちる。
セルジュは家に帰ってきてから現実に引き戻された。
豪華な調度品に囲まれた伯爵家とは正反対の、質素な部屋。
子供の頃はもっと色々と置いてあった筈だが、金目のものは売ってしまった。
そしてつい先程、病気で寝ている父を見舞った時に。
出来るだけ早く財政を立て直して安心させてあげたいと思った。
何も強要されてはいないが、それが後を継げずとも貴族の長男としての勤めだ。
弟はまだ子ども。
自分がなんとかしなければと、ずっと思い込んでいたが。
一人だけで頑張る必要はないと、カルロスは言ってくれた。
(カルロスは賢いから、財政を早く立て直す術を知ってるのかも)
今の自分は無力だが、カルロスに教えてもらいながら財政を立て直せれば。
胸を張って彼を婿として、番として、迎え入れられるかもしれない。
心を決めたセルジュは勢いよくベッドから起き上がり、バルコニーへと出る。
夜風が頬を撫でるのを感じながら、手に持った小瓶を力いっぱい投げ捨てた。
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