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勧進帳~R18腐二次創作弱虫ペダル新開目線
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泉田をからかった罰か、その夜、俺は夢を見た。
俺たち箱学が、義経一行になって安宅の関~石川県小松市あたり~を越えるのだ。
俺が弁慶、寿一が義経、靖友や東堂が他の随行員。
もちろん寿一には目出し帽をかぶせてある。
関所役人は総北の金城真護。
巻島だの田所だのが、通行人に目を光らせてるところをみると、この関所は総北のお膝元らしい。
小松市は千葉じゃねーぞ?
まあ夢だからな。
「次の通行人、前出るっショ」
巻島副奉行が仕切る。
やるっきゃない。
「岩手まで自転車レースに行く旅の一行です」
「謀反人福富寿一が、自転車レーサーに変装して、この関所を通るという情報を得ている。俺は関守、金城真護。絶対に諦めない男だ」
それは十分知っている。
「おまえたちが本当に自転車レーサーなら、急ブレーキの手信号が出せる筈だ」
うっと詰まった。
夢の中だからか、思い出せない。
裏手を後方に見せて…えっと…
アアだめだ。
思い出せない!
その時靖友が叫んだ。
「ブレーキ!」
マジか!
だが金城は微笑んだ。
「よろしい」
なにいいい?
「手信号はこうだが」
と、ハンドサインしたあとで、
「両手放しが苦手な乗り手もいるから、その場合は叫べばいい。バイ渡辺航」
渡辺航って誰だ。
ともあれこの場は乗り切った。
「よろしい。通りなさい」
ほっとして、一同礼して通過しかかったのだが…
「ちょっと待て」
腕組みして金城の後ろに控えていた平役人?田所が、低い声を放った。
「覆面の男。おめえの引いてる自転車、ジャイアントだろう」
俺たち全員息を飲む。
「謀反人福富もジャイアントの乗り手だ。これは果たして偶然の一致かな?」
寿一!
潔すぎる寿一のことだ、今この場でマスクを脱ぎかねない。
ああもう!
ここはこの手しかない!
「おめさんっ!」
俺はいきなり寿一を殴った。
「おめさんが福富とかいうやつに似てるせいで、何度足止めをくったと思う!
醜い傷痕を憚るのはもう諦めろ。
役人様に素顔見てもらえ!」
殴って殴って殴って、パワーバー持ってたら折れて吹っ飛ぶだろうところまで殴り続けた時、金城が俺の手を掴んで止めた。
「もういい」
そして田所を顧みた。
「このご仁は福富寿一ではない。田所の失礼、平にご容赦を」
一礼した。
金城たちの目の届かないところまで来てから、俺は靖友に手酷い一発を食らった。
「新開てめえ! よくも福チャンボコボコにしたな!」
「よせ荒北」
覆面を取った寿一に止められ、
「福チャンー」
半泣きで靖友が取りすがる。
寿一がよしよしする。
何かむかっとするところへ、靖友がこれ見よがしの顔で寿一に抱きつき、熱くキスしやがった。
東堂はいつの間にか消え、何かよくわからん背景の中に俺たち三人。
煽る靖友の眼差し受けて、寿一が靖友抱き返す。
やめろ寿一。
せめて俺の前では、目の前ではやつを…抱…
「…開さん…、新開さんっ」
イズが俺を揺さぶっていた。
イズの部屋。
あの後イズと飯食って、昼下がりの△△としゃれ込んだ。
そしたらあんな夢…
「何時だい」
「昼ちょっと前です」
昼飯にはちょい早いか。
「俺ちょっと走ってくるけど、一緒に来るか?」
「ん…。僕はごはん作ります。存分走ってきてください」
こういうとこもかわいい。
俺は一つキスして部屋を出た。
箱根山は昼に近づき、アスファルトの照り返しで目も眩みそうだ。
サーヴェロが走りたがってうずうずしている。
ペダルをひと踏み。
この時間、箱根山には誰もいない。
イズも居ないし…ちょっとだけ。
「靖友のバカヤローーーーー!!!」
叫びながら坂を全力で下った。
胸がスッキリした。
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