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靖友消失③~腐二次創作弱虫ペダル金城目線、捜索
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荒北が消えてから二ヶ月が過ぎていた。
警察は、大学生にありがちな気まぐれととり、おざなりな捜査しかしてくれていない。
俺は自分ひとりのカでやつを捜すしかなかった。
最近の練習コースは大学から、32km離れた海沿いの公道。
ケツが腫れ上がるまで走って帰ってくる。
あまり人けのあるコースとは言えないが、人ひとり消えてウンもスンもない場所でもない。
あ、でも、赤橋のあたりだと…
赤橋はもともとは石動橋(いするぎばし)と言ったそうだが、既に著しく老朽化して、赤錆が浮いているので赤錆橋、縮めて赤橋と呼ばれるようになったと聞いている。
そんな赤橋の周辺はちょっとさびしい場所だ。
今は廃線になってしまった貨物線のラインだからしょうがないといえばしょうがないのだが、錆色の橋が半ば埋もれるほど生い茂っている蔦を見て、不吉な予感は確信に変わった。
果たして蔦に絡まれた竹藪の中に、あいつのビアンキが隠されていた。
何かめちゃめちゃに傷ついている。
抉れたフレーム部分に、かすかに黒の塗料。
現場をそのままに警察へ行くと、古い自転車でも落ちてたんだろうと言われ、ビアンキを引いて戻ったら現場を荒らしたと言われ、この時点で既に三週間経っていた。
誘拐なら事件発生二日で生存率がガクンと落ちるのだ。
日本警察は、よっぽど荒北靖友を殺したいに違いなかった。
荒北の自転車を引いて寮に戻る道すがら、クラクションに振り向くと、田所製パン御曹司だった。
「おめえに会いたいっていうから、一都三県またいで連れてきてやったぜ」
静岡工場と千葉本店を往き来してるだけのくせに、いつもながら恩着せがましい。
が、同乗してきた男はひと目でスジ者とわかる鋭い目をしていた。
「坂戸くん…ですよね」
スジ者はひゅうと口笛を吹いた。
「さすがは千葉の親分さんだ」
(違うって)
「こいつ荒北が心配で来たんだと」
(それはそうだろう)
大物のその道のやつが、ボディーガードも連れずに来てるんだ。
なまなかの友情じゃありえない。
なのに大物は否定までするのだ。
「何、奴とは腐れ縁てだけでね。居所がハッキリしねーと怪しくて怪しくてさ」
俺を品定めするように見て、
「あんたが今の…」
言い澱む。
「飼い主だ」
「そうそうその、飼い主さんに、伝えときたいのは二つだ」
ーつはあの、地場の奴らは今回のことには関係していない。
もう一つは、荒北には、昔から変な監視者がついていた…
「黒いバンで、ナンバープレートも折り曲げてあって読みとりにくくてよ。何とか読めたのが下3桁…」
でもそこから辿れたんだな。
「相沢正三、千田広。つるんでるのはその二人だ。車は相模湖の方で見られてる。四日前だ」
「機動力…凄いな」
「たった一人で現場みつけたあんたの方が凄え。尊敬するぜ。これ以上、俺は動けねえ。あとは…頼めるか?」
俺は大きく頷いてみせる。
「荒北は、いい友だちを持ってるな」
「いい飼い主もな」
一瞬だけ相手はすがるような目になった。
「あいつは弱い。どうか守ってやってくれ」
わかってる。
俺はもう一度深々と頷いた。
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