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渋谷の正月~二次創作弱虫ペダル坂道、呉南東村
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お正月期間に東村さんが上京するって。
よかったら案内しましょうかってラインするの勇気要ったけど、五秒くらいで返信きた。
『マジで!?』
喜んでくれてる…?
ー月二日に渋谷のモヤイのとこで待ち合わせた。
ピコン。
『ハチ公じゃないの?』
『あっち混むんで』
いみ…伝わってるかな。
ピコン。
『了解! オチます』
『おやすみなさい』と打ってから、黒マニュのスタンプをつけた。
黒マニュがおやすみなさいってしてるやつ。
ピコン!
『それどこで取れたんっ!?』
あれ?
寝るんじゃなかったの?
『マニュの制作会社が創立二十周年で配布してました』
『知らんじゃった! 一生のふかくーっ!』
あんなにかっこいいのに、おもしろいな東村さん。
おやすみなさい…
渋谷すごっ。
見渡す限り人の波だ。
東…村…さん…
よかった。
長身だからわかる。
モヤイのロのあたりに立ってて、ぼくに気づいて手を上げてくれた。
人…波…
あ、突かれた。
転っ…
「おっ」
ギリ東村さんが支えてくれた。
「すっ、すみませんっ」
「いやいや。優勝者スッ転ばせたら競技連にうちつぶされるけえ」
僕の裾を払ってくれた。
東村さんとセンター街を歩く。
長身でかっこいい。
こんな人がオタクってありえ…
なくもないか。
今泉くんも湖鳥、はまってくれたもん。
御堂筋くんもアニメの話聞いてくれたし、田所さんなんかラブヒメ歌って走ってくれたし!
(それは相手がきみだからだと思うぞ作者注)
みんなアニメ好きなんだな!
(いやきみだから…作者注)
そうこうしてたら△んだらけの入り口に着いた。
東村さんが青ざめてる。
どうかしましたか。
魔窟か?
まくつ?
中でハーブとか売っとるんか?
そんなとこじゃありませんよ。
確かに地下にぐるぐると降りるときと、ヘンなストロボ光にさらされるとき、『怖いーっ』って思うけど、その奥に広がるのは夢の国だ。
東村さんもすぐにわかってくれた。
九十センチの巨大虹マニュロケットパンチ機能付き(四万八千円也)現金買いして、東村さんはキラキラの目でそこを出た。
「東京はすげえのう。こがいな店がそこここに林立しとるんじゃろ」
「てゆうか東村さんお金持ちなんですね」
「なわけあるかー。お年玉と二年分の貯金叩いただけじゃあ」
すっかり広島弁になってる感じだ。
「すまん靴ひも解けた」
屈み込んで虹マニュ置いた時!
スケボー乗った中学生みたいのが虹マニュかっさらってパルコの坂へ上がって行った!
「あっあっ…」
意味なさない声あげてる僕と違って、東村さんは冷静だった。
「きみたちそれ貸せる?」
言い様通りすがりの人から二台ロード奪い~借りるではなかったどうみても~一台を僕によこした。
彼がジャイアント。
僕のはなんとTIMEだった。
ズギュンって心臓がなって、僕は憑かれたみたいにペダルを回した。
東村さんのことを失念して走る。
パート3の坂を上がって左に行って、ハンズ行きかけてる犯人の前へ出た。
「すみませんそれ! 連れの大切なものなので」
犯人はへたり込んだ。
自転車の持ち主にお礼言って自転車返した。
(もしかして小野田坂道? って聞かれたけど、東村さんが「よく言われるけえが他人のそら似ですけえ」って、ねめつけるように言ってくれたおかげで何もなくすんだ)
広島へ帰る東村さんを新横浜まで送った。
「本当は品川とか東京からのがええんじゃが」
「僕わかります! その分ガチャ、引きたいですもんねっ」
「ほんま小野田くんは同志じゃあっ。けど自転車じゃあ負けんきに」
ふっと瞳がきびしくなる。
僕も思わず居ずまいを正す。
「まっ、負けません! 僕も! うちも!」
「次の夏が楽しみじゃ! 組み付けプラモもな」
プルルルルルっと発車ベルが鳴って、プシュッと扉が閉じてゆく。
え?
待って組み付けプラモ!?
「東村さん!」
『電話するけえ』
扉の向こうで東村さん仕草してくれた。
ゆっくり動き出す新幹線に並んで、ぼくは歩き、小走りし、走りかけて駅員さんににらまれた。
銀*鉄道999のようにはいかないや。
でも…
僕にとっては忘れられないお正月になりました。
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