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過去14___救済と嘆き
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「………」
目を開けると俺がいつも朝起きた時に見る景色だった。
見慣れた景色に僅かな安堵感が生まれるが、何故ここにいるのかという疑問が次に湧く。
「あ、起きたか」
「?!」
俺が寝ていたベッドの脇に肘を尽きながら俺の様子を伺う1人の人物がそこにはいた。
なんで、お前が…、
「か、ける……」
井下翔がいた。予想外の人物に驚くしかなかった。俺の記憶は雨の中、木田の仲間に放置されたところで途切れている。痛みと後悔の念に駆られながら意識をフェードアウトさせていったんだったな、確か。
「お前さ、なんで雨の中にいたの」
「や、その…」
なんていうか、翔はなんの気まずさも感じてないんだろうか…。ここ2、3年はまともに、ほんとんど喋っていなかったのに。そんな事を感じさせないくらい普通に喋りかけてくる翔に俺の方が戸惑ってしまった。
そして、翔の口から出てくる事実は更に俺を戸惑わせた。
「俺にいきなり連絡があったんだよ、…桐島琳て奴から」
「…っ!、琳…?」
「そ…」
何故琳が?
「なんか知らない番号からケータイに電話かかってきて。出たらいきなり“お前んちどこ?つーか、理央の家どこ”って言ってきてさ。まあ聞いたらお前が倒れてるから~って。どーせお前んとこのおばさんもおじさんも仕事だろうからお前んち開かないと思って」
俺のズボンのポケットには鍵が入ってたらしい。その鍵で家に入り俺の手当てと看病を翔がしてくれた。琳は…
「何があったか知らないけど…行ってくるって言ってたな」
「…え?」
琳が……。
「どうした?理央」
琳は絶対……木田の所へ行ったんだ…。
俺は家で呑気に寝てて…琳は隆と祐の元へ行ったんだ…。
翔の問いかけは俺の耳には入って来なかった。
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