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救世主再び。
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「どうする?本山呼ぶか?」
相変わらず嫌な笑いを貼り付けたままの前田の言葉に赤城がニヤッと口元を歪めた。
「そうだな。おい、お前本山に電話しろ」
「えっ、、、」
頬を掴まれたまま赤城が脅すように顔を近付けてきた。
でも、あり得ないことを言うこの男に素直にはいって言いたくない。
精一杯の反抗とばかりに涙の溜まった目で睨み返した。
「知ってんだろ、本山の番号ぐらいよお」
「・・・・」
「何とか言えよ」
赤城の眉間に深い縦皺が刻まれる。
怖い。
怖いけど、でもやっぱり首を縦には振れない。
プルプルと身体が震えてるのがわかる。
反抗し続けたらどうなるかなんてバカな俺でもわかってるけど、でも俺には壱也さんを呼び出すなんて出来ない。
何も言わない俺に、一気に赤城の機嫌が悪くなるのがわかった。
「そうかよ。そういう態度取るんなら仕方ねえな」
そう吐き捨てた赤城は掴んでいた俺の頬を解放した。
でもその代わりに、振り上げられた拳が目に入る。
やっぱり。
変に冷静になってる頭はもう諦めてて、目を閉じて襲ってくるだろう衝撃に備えた。
空を切るような音、それから鈍い音と共に聞こえる呻き声に何が起きたかわからなかった。
恐る恐る目を開けると何故か赤城は視界から消えていて、代わりに目に映る金髪。
前にも見たことのある光景に情けないかな、俺の涙腺は崩壊してしまった。
「いっ壱也さんっ・・・」
「大丈夫か稜太」
額に薄っすら汗を浮かべて肩で息をする壱也さんに思い切り抱きついた。
怖かった。
ほんとに怖かった。
泣きじゃくる俺の頭をよしよしと壱也さんが撫でてくれる。
もうそれだけで安心できた。
「本山てめえ、、、」
はっとして声がする方を見ればぶっ飛ばされた赤城がゆっくりと起き上がっている。
口元の血を手の甲で拭っていて、口の中が切れたんだろう。
その顔は完全にキレていた。
無意識に壱也さんの服を掴む手に力を込めると壱也さんは安心させるように俺の頭を抱き寄せた。
でも、視界の端。
壱也さんの腕の中から前田の姿が見えた。
勝ち誇ったような顔、それから振り上げられた鉄パイプ。
「壱也さんっ」
「がっ⁈」
叫んだと同時。
何故か前田が吹っ飛んでった。
予想もしていなかった見事なまでの飛び蹴り。
まるで特撮ヒーローだ。
揺れるピンクの髪に、シャラっと音のしそうなたくさんのピアス。
それはそれは楽しそうな表情をした銀司さんだった。
「壱也、リョウチン取り戻したからって油断しすぎ」
「悪い」
ふっと笑い合う二人。
しかも、無事で何よりとフジさんと雅宗さんまで顔をのぞかせた。
しかし、反対に険悪になりつつあるこの空間ではつかの間の安堵だったようで。
「調子乗ってんじゃねえぞてめえら」
キレた赤城の声に奥にいた不良軍団が距離を縮めてきた上、臨戦態勢になったのがわかる。
ひいいいいい!?っと心の中で悲鳴を上げたのは、内緒です。
だって殺気がすごいんだもん。
今度は違う意味で涙を流しそうになっていると、不意に誰かに呼ばれる。
「稜太、こっち」
「マコト、、、」
見れば扉の向こうからマコトが手招きしている。
同じくそれに気付いた壱也さんは俺をマコトに引き渡した。
「絶対、中入ってくんじゃねえぞ」
「はっはい!」
「セイ、頼むぞ」
「了解」
そう言葉を交わすと壱也さんは安心したように笑ったあと、再び倉庫の中へ戻っていった。
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