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「ここ、葵さんちですか…?」
「そう。降りるぞ」
真緒を連れて家の中に入るとすばるがリビングにいた。
「おかえり。葵兄…って、その傷どうしたの?」
「あー、ちょっとな。トラブった」
「…また女絡み?」
「ちげーよ!今回は別件」
呆れたような視線にとりあえず否定しとく。
それ以上は聞いて来なかったから助かった。
「あれ?その人誰?」
俺の後ろにいた真緒にすばるが気付いて。
「えっと…綴真緒です」
「俺の後輩。今日からコイツここに住むから」
驚くすばるに真緒は深々と頭を下げた。
「よ、よろしくお願いしますっ…」
「…俺はすばる」
「あと仕事も傷治るまで休みもらったから」
何か言いたそうなすばるを置いて真緒を連れて部屋へと戻る。
「わっ…」
部屋を見た瞬間小さく声を出す真緒。
「俺片付けんの嫌いなんだよ。テキトーに座って」
散らかってる服やら雑誌を退かせてとりあえず場所を作る。
「…広いですね」
遠慮がちに周りを見渡しながら腰を下ろす。
まぁ、コイツのアパートより俺の部屋の方がデカいもんな。
「まぁね。…てか、腹減ってんだろ」
途中コンビニで買ったおにぎりや飲み物を取り出して真緒が何か言う前にそれを渡す。
「いただきます…」
真緒が食べるのを見て俺はタバコを取り出して火をつけた。
「…体大丈夫?」
「はい。昨日は、ありがとうございました」
「それより、聞きたいことあんだけどさ」
俺の言葉に顔を上げる。
「俺の事、好きなんだってね」
「っ…」
むせる真緒の背中を慌ててさすった。
「大丈夫かよ?」
「…なんで、それっ…」
なんでって、コイツ覚えてねぇのか。
「昨日気失う前自分から言ってきただろーが。それに、社長と高山さんから聞いてたしね」
「……っ…」
食べるのをやめて黙る。
俯いてるから表情は見えないけど、多分泣いてる。
「…いつから?うちの店入る前から俺の事知ってたんだろ、お前」
「……ごめんなさ…」
「別に怒んねぇから話して。…場合によっては考えてやるよ」
言葉を遮って頭を撫でると俯いたまま手の甲で目を拭う。
ゆっくりと顔を上げた真緒の顔はやっぱり涙で赤く濡れていた。
「実は俺…」
それから俺は黙って真緒の話を聞いた。
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