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#2-9
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最近智の機嫌が悪い。理由は分かっている。俺の帰りが遅いからだ。でも仕方ないじゃないか。最近2人ほど新しく入院した。一人は切迫早産で、もう一人は体が弱いうえにつわりがひどいからだ。ちょっとしたことで喧嘩になってしまう。
"裕樹さん、ちゃんと洗濯物出しといて下さいって以前から言ってますよね?"
"そんなのいつものことだろ?"
"開き直るんですか?!"
"別に開き直ってねぇし"
"それを開き直るっていうんです"
"なんだよ…俺だって疲れてるんだよ"
"僕だって疲れてます、大体なんなんですか、家に帰ってこないし、キャバクラでも行ってるんですか?"
"はぁ?そんなわけねぇだろ、馬鹿なこというなよ"
"馬鹿なこと言ってません、僕はただ僕達の事考えてるのかって言ってるだけです"
"違うだろ?そんなこと一言も…"いつもここらへんで蒼大が泣くから止まる。
でも今回は違った。蒼大が寝ている時にもめたからだ。深夜3時すぎ、珍しく電気がついている。うっかり消し忘れてると思っていた。
"ただいま…って智今何時だと思ってる"
"どこ…行ってたんですか?"
"はぁ?どこって病院…"
" いつもいつも僕たちの事ほっておいて…"
"別にほったらかしてるわけじゃない、智には言ってなかったけど最近入院患者が…"
"…もういいです、いっつも口を開けば病院だ、患者だ…って僕たちの事どうでもいいんですよね…だから身重の僕おいて仕事に行って…"
"そんなこと一言もいってないだろ…"
"言ってるも当然じゃないですか"智がポロポロ涙を流しながら俺を睨む。
"もういいです…出ていきます"いつも智が出かける時に肩からかける鞄に携帯と財布をつめ始める。
"何の冗談だよ…"
"冗談じゃないですから、後は蒼大を…"寝室にむかい智が蒼大を抱き上げる。幼い我が子はスヤスヤと眠っている。
"では、さようなら"智が蒼大をベビーカーに乗せてスタスタと歩く。あまりの突然なことにただただ呆然としてしまって追いかける事が出来なかった。
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