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#2-10
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その日の晩はさすがに一睡も出来なかった。まさか智がマタニティーブルーじみたことになっているとは思わなかった。きっと智は言わなかっただけで毎日蒼大が寝た後はずっと辛い思いをしていたのだろう。それを考えたら胸がしめ付けられた。
翌朝の朝早く智が居るだろう所にむかった。昨日出ていったのが夜中だから実家や友達の家には居ないだろうと思っていたら一件だけ智が行きそうな所を思い出した。目の前に「しろさき小児科」とさまざまな動物の書かれた看板が見える。そのすぐとなりの家のチャイムを鳴らす。
"あ、裕樹くん"中から長身のヒゲを少したくわえた人が出てくる。
"ごぶさたしてます。なかなか仕事が忙しくて"苦笑すると
"智から聞いたよ。まぁ入って入って"
"おじゃまします"この長身のヒゲをたくわえた人は智の一番上のお兄さんの城崎奏さんだ。実は同い年だったりするが一応義兄さんだから敬語を話す。
"智は二階で蒼大と寝ているよ"
"本当に申し訳ないです、夜分遅くに"頭を下げると
" 仕方無いよ、裕樹くんだって忙しいんだろ?"
"はい…入院患者が一気にふえてしまって"
"大学病院は大変だねー、あ今日朝から仕事?"
"いえ今日は昼からです"
"なら智起きるまで待ってゆっくり話しなよ"
"え?良いんですか?"
"いいよいいよ、千秋ももうすぐ起きてくるけど、それでも良ければ"千秋さんは奏さんの奥さんだ。といってもうちと一緒で男同士だ。
"いや、そんなここ奏さんの家ですし"
"まぁ、そうだけどな…っていってるまに起きてきた" 奏さんがクスクス笑いながらドアが開いたほうを見ると目をこすりながら綺麗な男の人がドアを開ける。
"あ、裕樹さん…智くんまだ寝てますよ"
"お久しぶりです、千秋さん"
"久しぶり、朝からご苦労様です"苦笑しながらも俺の隣に座る。
"おい、千秋…俺の隣はいやか?"奏さんが機嫌悪そうに言う。
"はいはい"苦笑しながらも奏さんの隣に座る。
"智くん言ってましたよ、辛いのに一緒にいてくれないって"
"やっぱりそれが原因でしたか"
"忙しいのはわかるけど一緒にいて欲しいみたいですよ"
"そうですか…"
"まあ、後は本人に聞いてください"そう言うと奏さんのコーヒーをごくごくと飲む。
"あ、俺のコーヒー"
"奏ちゃんのだから飲んだの"千秋さんがふにゃと笑うと奏さんが照れたように笑う。千秋さんは"この人ばかだろ?"というかのように目配せしてくる。思わず笑ってしまうと奏さんがキョトンとする。それにも笑っていると智が奏さん夫婦の長女の加奈ちゃんと降りてきた。
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