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清
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手首に残る縄目の跡に唇がふわりと触れる。
微かに温かくて、柔らかい。
ちゅっと微かな音をたてて離れた唇は、そのすぐ横にまた落とされた。
なん、なんだよ。
何で俺が、こんな、変な気持ちにならなきゃいけねえの?
マジで意味が分からない。
その、慈しみ深い儀式のような光景を直視できずに、視線をさまよわせる。
ホテルに入って直ぐ、突っ立ったまま服も脱がずに、何やってんだよ。
ヤるんじゃ、ねえの?
だって、それ以外に何があるんだよ?
「っも、止めろ」
軽く振り払えば、解放される。
別に、オレは悪くない。
なのに、なんで、こんなに気まずい思いをしなきゃなんねえの?
「・・・ごめん、痛かった?」
「・・・もう、痛かねーよ」
「ん、そうじゃなくて・・・」
ふわりと抱きしめられた。
オレの体を包み込む長い腕にじわりとじわりと力が込められて、痛くも苦しくもないけど、息が詰まってくる。
トクトクと規則正しく聞こえる心臓の音。
呼吸の度に微かに膨らむ胸。
暖かい体温。
男から伝わってくるモノがオレの体に染込んでいく。
「・・・なあ? ・・・・・・セックス、しねえの? しねえン、なら・・・、オレ・・・帰る、けど・・・」
くぐもった声は、小さくて、ちゃんと伝わっただろうか。
セックス、したかったんだよ。
オレは。
この二日間、したくてしたくて、気が狂いそうだった。
会社の社長に変な顔と笑われるくらいに、頭おかしくなってた。
だから、コイツから連絡が入って、ああ、もう、チェックインした瞬間にぐぷぐぷとペニスを銜え込んでやろう、オレが押し倒してやろうって、息巻いて、自分で慣らして、来たってのに。
なのに。
「・・・する?」
「・・・・・・シねえの・・・?」
「・・・もう少し、このままいちゃ、駄目?」
「・・・・・・・・・べつに・・・ダメとか、ねえけど・・・」
満たされていく。
喪失感が、消えて、なくなっていく。
あんなに、めちゃくちゃに抱かれても埋まらなかった部分が。
なんで、こんな事で・・・。
なんで、オレは・・・泣きそうになってんだよ・・・!?
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