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アルバムをなぞる指先の決断24
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【side百目鬼】
朱雀の俺は、周りのグループに獰猛な鬼と恐れられてる。
やる時は、相手が動けなくなるまでやるし、一度始めた喧嘩は全滅させるまで止めない。
俺を素手で止めることができるのは、朱雀のリーダーだけ。
口下手な俺は仲間と打ち解けるのも下手だから、一度火の付いた俺を止めに入ろうなんて奴はそういない。同級生で同じ朱雀の谷崎と、同じ学校に通ってはいるが朱雀とは関係ない進学組の優等生、賢史だけ。
そんな乱暴者と言っていい俺の目の前に…
華奢で色白のハーフ美人の常に笑顔のこいつ…
茉爲宮優絆が現れた…。
マキ「ねぇねぇ、ちょっと気分転換に出掛けよう♪」
百目鬼「どこに?」
マキ「散歩だよ♪美味しいパンケーキ屋さんがあるんだ♪」
百目鬼「ッ!?パンケーキ屋」
マキ「ふわっふわの生地に生クリームと産地直送のソフトクリームが乗ってるんだよ♪」
百目鬼「…」
マキ「ふふっ♪いい顔♡食べたくなったでしょ♪」
百目鬼「……」
こいつが、俺の混乱を酷く搔き回す。
ただでさえ俺は記憶の一部無くしてるらしく、今の俺には12年分の記憶がなくて訳ワカンねぇのに、12年後の恋人と名乗るこの可愛らしい美人と2人きり。
この混乱具合を分かりやすく言うと、気性の荒いライオンの前に、真っ白で可愛らしい子猫が迷い込んできて、懐かれてしまったみたいな構図。
もうどうしていいか分かんねぇ…。
子猫は馬鹿みたいに可愛らしい顔して〝好き好き〟オーラ全開で俺の世話を焼こうとする癖に、飲み物作ろうとお湯沸かせば火傷して、飯作ろうとして指を切る始末。仕方がないので俺がご飯を作れば、すっげー美味そうに食べてくれるし、ずっと嬉しそうにほうばって幸せそうな笑顔が花咲いてて…。それだけでもかなり心臓に悪いのに。翌日はフレンチトースト焼いたと張り切ってて、あんなの漬けて焼くだけなのに…、「美味いよ」って言ったら瞳をキラキラさせてふにゃりとした嬉しそうな顔して照れ笑いして…
…ホント…勘弁して欲しい…
…本当に勘弁して欲しい…
どうしてこんな掻き乱されなきゃならないんだ…。
そもそもこいつが、出会い頭に泣いてたのがいけない。
だって無理だろ。
認めたくないが、俺の性癖は、俺を好きな相手を泣かせて、好きだと泣いて縋る姿がみたいと思ってしまうこと。
茉爲宮は、縋りはしないが、綺麗な顔が悲しみに歪んで流す涙は、俺が茉爲宮に恋愛感情が無くても、かなりくるものがある。それに、いくら俺が茉爲宮を好きじゃないとしても、茉爲宮は、俺の中の〝神さん〟が好きなわけで…。大好きな人って目をして俺を見る。
その瞳が俺の向こう側を見てるのは分かってる、分かってるが…、茉爲宮は男で…、俺ではない〝神さん〟が好きなんだ…。
俺は、獰猛な鬼と言われる乱暴者だ。
だから…、子猫に懐かれても困る…。
マキ「良かったねぇ、混んでなかったね♪。さぁ、どうぞ座って」
矢田さんの運転でパンケーキ屋に来たが、パンケーキ屋は可愛らしい造りの店で、店内には女の子とカップルしかいなかった。
顔が引きつりそうなのを堪えてると、茉爲宮はいそいそ席にむかい、椅子を引いて俺を座らせる。
女ばっかで気まずいけど、流石女子ウケのいい人気店、めちゃめちゃ美味そうなのかいっぱいあるし、オススメのは外せないけど、季節限定のフルーツ乗ってんのも捨てがたい…って、しまった、ついつい…
しかし、流石に気まずい。
百目鬼「おい、ココ、男同士で来るところじゃないだろ」
マキ「ふふっ♪、平気平気♪周りは僕たちが男同士だなんて気づいてないよ♪」
…意味が飲み込めなくて一瞬考えてしまったが、よく見ると、カップルで来ている男が、やたらチラチラ茉爲宮を見てるから、同席してる女性が不機嫌な顔になってる。
それを見てから改めて茉爲宮を見ると、癖のある猫っ毛のウルフカットは、背中まである長さ。華奢でスタイルのいい体型に、ストライプのふわふわの可愛らしいコートを脱ぐと、だぼついた白のセーターに、細身のジーンズ。オマケに超美人。
言われなければ、茉爲宮が男だとは分からない。
俺だって、本人に言われるまで女だと思ってた。
マキ「ねぇ、……、神…くんは、どれにする?」
だから!
なぜ照れる!
百目鬼「…神でいいって言ってるだろ」
マキ「ぁ…うん」
百目鬼「だいたい、俺が〝神くん〟って柄か?一番似合わない呼び方だろ」
たとえ18歳のままでも似合わないのに、今は見た目が30歳だぜ?どんな痛いやつだよ。
マキ「…似合わないことはないよ。可愛いとこいっぱいあるし」
百目鬼「は?可愛い?俺が?」
マキ「うん♪可愛いとこだらけでもう大変♪」
百目鬼「お前…俺のどこを見たらそう見えるわけ?」
マキ「全部♡」
百目鬼「ぜ…」
ダメだこりゃ…、こいつ趣味悪いな、俺みたいなののどこが可愛いんだよ。
あれか?やっぱ好きな人だからとかか?〝神さん〟だから何しても的なやつか?
マキ「違うよ♪、可愛いのは今の神くんだよ♪」
百目鬼「……俺。今口に出してたか?」
マキ「んふ♪顔に書いてあった♪」
俺の強面の顔見て俺の考えてることを当てられるなんてこの世にばあちゃんしかいないはずなのに…、何故だ!?
マキ「ねぇねぇ、パンケーキオススメと季節ので迷ってるんでしょ♪、僕も気になるからその2つ半分こしよう♡」
は!?
こいつエスパー!?
マキ「あは♪、ほらやっぱ可愛いじゃん♪」
百目鬼「お前…なんで…」
マキ「ふふっ♪結構顔に出てるよ♪」
百目鬼「顔に出てる?友達ですらいつも怒ってんのか?って聞かれるほど睨んでるように見えるこの顔がか?」
マキ「え?あぁ…、ふふっ♪。確かにわかり辛い時もあるけど、今の……、…神……は、結構分かりやすいよ♪コロコロ表情が変わって可愛らしい…よ♪」
百目鬼「!!!!!」
(ーピシャーン!![落雷])
マキ「えへ…。やっぱ…恥ずかしいから、神くんでいい?」
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