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結弦の墓 5
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「ふふっ、痛いよ~」
そう言いながらの、波留は猫の行動を止めようとはしなかった
ゴロゴロと喉を鳴らし、涙の伝った部分をしきりになめ続ける猫
「慰めてくれてるんだよね。…ありがとう」
猫に嬉しそうに微笑むと、猫も得意げに鳴いた
「にゃーお」
すると、ふと誰かが波留を後ろから包み込んできた
『幸せそうで安心した。波留はいつも笑ってて…俺は波留が笑った顔が好きなんだ…』
ずっと聞きたかった声…
「……ゆ…づる…?」
姿や形は見えないのに確かに後ろから抱きしめられ、彼の話し声が聞こえた
波留は猫を抱きかかえたまま勢いよく後ろを振り返るが、そこには自分が落した傘しかなかった
(今、確かに居たんだ。結弦が……)
猫を地面に下ろして立ち上がり、辺りを見渡すが誰もいない
「みゃ~お」
「……もしかして、お前が呼んでくれたのか?」
そんなわけがないと分かっていてもそう思いたかった波留は猫に問いかける
「にゃー」
猫は自慢げに鳴き、また波留の足に擦り寄ってきた
「そう……お前が結弦に会わせてくれたんだね……。ありがとう」
今度は嬉し涙を流しながら、猫の頭を優しく撫でてやった
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