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結弦の墓 2<清、猇視点>
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顔を上げると、そこには少し痩せ細った女性がいた
「……はい?」
俺が口を開くと、目の前の女性は視線をせわしなく動かしながらも弱々しい声でこう言った
「あ、…あの。先程"波留"と言っていたみたいなのですが…それに結弦の事まで。…貴方達は波留くんと結弦の事をご存じなのですか?」
「はい。…波留は今、俺達と一緒ですけど…?」
そう答えると女性は俺達に詰め寄ってきた
「波留くんは今どうしてますか?…ご飯とか、きちんと食べてますか?学校も辞めたみたいですし…」
堰を切ったような言葉に俺も猇もたじたじになる
「え、あ、貴方は波留の…?」
俺達が何を聞きたいのかが解った女性は、口を片手で覆いながら軽く塞いだ
「すみません。私ったら…」
「いえ、大丈夫ですよ。」
女性を優しく宥めると、俺達は再度女性に問いかけた
「私は結弦の母です。…波留くんの行方が結弦の事件以来全く分からなかったのでつい…」
どうやら目の前の女性は天原結弦の母親らしい
「波留なら元気ですよ。」
俺は彼女にそう言うと笑顔を向けた
「ほ、本当ですか!?…良かった」
すると、さも自分の事の様に安心した表情を見せる彼女
「えっと…、結弦くんのお母さんはどうして波留の事を?」
「…波留くん、結弦は自分が殺したんだって病院で言っていて…あの時の波留くんの顔が忘れられないの…それに、その時私はあの子に何も言ってあげられなかった。そしたら、波留くん学校も辞めちゃって…」
「………。」
「あの時に私がそんな事ないって、波留くんを支えてあげられたらってずっと考えていた…。結弦が言ってたの、寂しがり屋で一人で抱え込む癖があるって…誰かが支えてあげなきゃあいつは壊れるかもしれないって…。」
共感ができた気がする
波留は確かに一人で抱え込むことが多い
最近は心を開いてくれ時折だが自分の事を話してくれるが…
「でも、安心したわ。波留くん、ちゃんと生活してるのね。…本当に良かったわ…」
そんな彼女に俺達は言った
「結弦くんの事、少しだけ聞かせてもらってもいいですか?」
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