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結弦の墓 3<清、猇視点>
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「……え、えぇ、私は構いませんが…」
彼女は驚いた表情を見せると、首を縦に振って頷いてくれた
「それと…今は結弦君のお墓、行かないでやって下さい。」
そう言ったのにはなんとなく察しがついたようだ
「……波留が結弦君と話してますので…。」
「えぇ、解ったわ。」
俺達は彼女に頭を下げると、改めて結弦の事を聞いた
「結弦君ってどんな人だったんですか?」
「ふふっ、まるで取材記者の様ね。…結弦は、私から見ても真っ直ぐな子だったわ。明るくて、友達が大好きで、優しい子…。波留くんの事は家でも毎日の様に話してたのよ。」
結弦の事を話している女性は生き生きとしていた
「夕食の席につくなり、「今日、波留がな、俺の笑顔はお日様みたいだねって言ったんだ‼俺、嬉しくって嬉しくって…」って楽しそうに語ったりしてね…。本当、私にとってもあの子はお日様みたいだったの…。将来はコーディネーターになるんだって張り切ったりしちゃって。最初は何の興味もなかったのに…」
次第に彼女の眼からは絶え間ないほどの涙が溢れていた
「結弦もね、波留くんに会って変わったの。…高校の時は本当にやんちゃで、馬鹿で将来の事なんてなーんにも考えてない子で…それなのに、あの子は波留くんの勉強する姿を見てたら、此処にきて良かっただなんて言って…内緒でたくさん勉強してたのに…どうして急にいなくなったりするのよ…。」
結弦と波留との繋がりがどれだけ強いかを思い知らされる
「波留くんったら、霊安室で結弦の顔をじっと見て涙を堪えててね…、いっそ泣いてくれた方が私も安心できた…でも、あの子はじーっと堪えて、私達が出て行った後に部屋の外まで聞こえるくらいの大声で泣き出したの…。何度も謝って、泣いて、また謝って…。そこで解ったの、結弦が言った通りの子なんだって」
「一人で何でも抱え込んで、自分が悪いんだって責めている…ですよね」
俺は彼女に向けられる笑顔を見せた
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